研究課題/領域番号 |
20K22694
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
遠山 卓 東京慈恵会医科大学, 医学部, ポストドクトラルフェロー (20875520)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 恐怖記憶 / 情動 / シナプス可塑性 / 光遺伝学 / 細胞内シグナル伝達 / 神経ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
音や匂いといった感覚情報を処理し適応的な情動行動を表現するためには、扁桃体中心核(CeA)が重要な役割を担う。しかしながら適応行動を支えるCeA神経回路とそのシナプス制御機構には未だ不明な点が多い。我々は、CeAに対して腕傍核(PB)からの直接的な入力に恐怖条件づけ依存的なシナプス可塑性が生じることを見出した。興味深いことに、PBには可塑性修飾を調節する神経ペプチドが多く発現する。本研究では、神経ペプチドによる可塑性修飾という着眼点から、光遺伝学・電気生理学・行動解析を組み合わせた多角的アプローチを用い、PB→CeA可塑性修飾のシナプス機構およびその情動行動制御における意義の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
音や匂いといった外部環境からの感覚情報を処理し適応的な情動行動を表出するためには、扁桃体中心核(CeA)が重要な役割を担う。しかしながら、適応行動を支えるCeAの神経回路とそのシナプス制御機構には未だ不明な点が多い。本研究では、神経ペプチドを介した可塑性修飾という着眼点から橋にある腕傍核から扁桃体への経路の可塑性修飾および情動行動制御における生理的意義の解明を目指した。本研究では光遺伝学と行動薬理学を組み合わせることでin vivoレベルで扁桃体の経路特異的な可塑性の人工的操作に成功し、本経路において神経ペプチドを介したシナプス可塑性修飾が情動行動に関与することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
様々な精神疾患や一見すると脳とはあまり関係のなさそうな代謝疾患や疼痛モデルにおいて扁桃体経路のシナプス増強や可塑性制御の破綻が観察されている。しかしながら、この経路における可塑性と行動変容との関係には未だ不明な点が多い。本研究では、光遺伝学を駆使して神経回路特異的な可塑性操作プロトコルを開発した。さらにこれに行動学的解析を組み合わせることで、可塑性の制御破綻と情動行動異常との因果関係を示唆する結果を得た。これらの成果は、ストレス関連疾患や代謝疾患において共通してみられる情動行動の異常病態をつなぐ脳内メカニズムや、将来的にはそれらの疾患に対する治療法開発のための基礎的知見となることが期待される。
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