研究課題/領域番号 |
20K22699
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
瀧川 健司 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (60749274)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | GABA / 蛍光プローブ / 自閉症スペクトラム障害 / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)の脳内では抑制性シナプスの機能不全が共通した表現型として認められ、ASD症状を引き起こす要因と示唆されている。本研究では、ASD病態における抑制性シナプスの機能不全はシナプス前部の機能変容に基づくと仮説を立てた。本仮説を検証するために、GABAの時空間動態を高精細に可視化する蛍光プローブを開発し、GABAイメージングを行うことで、ASD病態における抑制性シナプス前部の機能的特性を明らかにする。また、超解像顕微鏡による抑制性シナプス前部の分子の可視化解析を通して、ASD病態において抑制性シナプスが機能不全を起こす分子機構の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
本年度では、抑制性シナプスから放出されるGABAの時空間動態を高精細に可視化するために、タンパク質と蛍光色素の複合体で構成されるハイブリッド型蛍光プローブのGABAに対する親和性の向上を目指した改良と、改良した蛍光プローブの細胞膜上でのGABA応答性を評価した。初年度に取得したプロトタイプの蛍光プローブのGABAに対する解離定数は約100 μMと親和性が低いため、シナプスから放出されるGABAの検出に用いることが困難と考えられた。一方で、研究代表者らは以前の研究において、ハイブリッド型蛍光プローブの標的分子に対する親和性は、タンパク質上に標識する蛍光色素の部位に依存することを見出していた。そこで、GABAに対する親和性を向上させる蛍光色素の標識部位を探索した。その結果、最大蛍光強度変化率が300%以上で、GABAに対する解離定数が約30 μMの新規蛍光プローブを取得し、親和性を向上させることができた。また、改良した蛍光プローブのリガンド選択性を評価するために、GABAと構造が類似した脳内伝達物質であるグルタミン酸や、その他5種類の脳内伝達物質に対する応答性を評価した。その結果、これらの伝達物質が1 mMという高濃度下においても、改良した蛍光プローブは蛍光強度をほとんど変化させず、GABAに対する高い選択性を有することが明らかになった。さらに、昨年度に確立した、蛍光プローブを細胞膜上にストレプトアビジン-ビオチンを介して固定する手法を用いて、改良した蛍光プローブが細胞膜上でGABAに対する応答性を維持しているかどうかを検証した。その結果、細胞膜上で固定された状態でもGABAに対する応答性が維持されていることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光プローブのGABAに対する親和性の改良を進め、取得した新規蛍光プローブの性能評価および細胞膜上での応答性評価を行い、次のステップである神経細胞でのGABAの時空間動態の可視化に向けて必要な準備を整えることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
GABAに対する親和性を向上させた蛍光プローブを用いて、抑制性シナプスから細胞外に放出されるGABAを観測する蛍光イメージングを試みる。また、GABA蛍光イメージング技術と超解像イメージング技術を組み合わせて、自閉症病態において抑制性シナプス前部の機能や分子の発現パターンにどのような変化が生じているのかを調べる。
|