研究課題/領域番号 |
20K22709
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
哲翁 ふみ 九州大学, 医学研究院, 助教 (80875899)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | DIF-1 / AMPK / mTORC1 / S6K / トリプルネガティブ乳癌 / 乳がん細胞 / AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK) / 細胞性粘菌分化誘導因子DIF-1 / mTOR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、細胞性粘菌分化誘導因子DIF-1のターゲット分子を同定し、正確な作用機序を解明することで、DIF-1の抗腫瘍薬としての臨床応用を目指す研究である。当研究室は、粘菌において飢餓状態で分泌される生理活性物質のDIF-1が、がんの増殖・遊走・浸潤抑制、血管新生抑制することを明らかにしてきた。 近年DIF-1が、ヒト細胞において飢餓状態により活性化されるAMPKシグナルの下流にあるmTOR/S6Kを調節することで、腫瘍増殖を阻害することを明らかにした。この結果から、DIF-1のヒト細胞における作用点がAMPKシグナル内に存在すると考え、DIF-1のAMPKシグナル伝達分子への影響を検討する。
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研究成果の概要 |
我々は、粘菌が分泌する生理活性物質のDIF-1が、mTOR/S6Kを調節することで、腫瘍増殖を阻害することを明らかにしている。本研究ではS6Kを調節するAMPKに着目しDIF-1のターゲット探索を行った。乳癌細胞を用いた実験で、DIF-1はAMPKのリン酸化レベルを上昇(活性化)させ、それに伴いRaptorのリン酸化レベルを上昇(活性化)、S6Kの脱リン酸化(不活性化)を促した。DIF-1は乳癌細胞の増殖抑制と遊走・浸潤抑制を行うが、その共通メカニズムとしてDIF-1によるAMPKの活性化が明らかとなった。本研究で、DIF-1が新規抗がん剤の開発のための有望なリード化合物であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がんは既存の治療薬に耐性を獲得し、遠隔転移といったがん進行を許すことで著しく生命予後を悪化させる。それゆえ、抗転移効果も含んだ新規抗腫瘍薬の開発が求められている。細胞性粘菌分化誘導因子 DIF-1は、細胞性粘菌 Dictyostelium discoideum が分泌し、柄細胞への分化を誘導する物質として単離・精製された低分子化合物である。DIF-1は蛋白質合成に重要なS6Kを調節するAMPKを活性化することで、細胞増殖抑制、細胞遊走・浸潤抑制効果を発揮することを見出した。DIF-1のターゲット分子を同定し、正確な作用機序を解明することで、抗腫瘍薬としての臨床応用への期待が高まる。
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