研究課題/領域番号 |
20K22727
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
深谷 匡 岐阜医療科学大学, 薬学部, 助教 (70880417)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | メロテルペノイド / テルペノイド / Eucalyptus cinerea / Psidium guajava / Paederia scandens / フトモモ科植物 / Pimenta dioica / Eucalyptus / フトモモ科 / 天然物化学 / Eucalyputus / P-糖タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,化学療法における抗腫瘍薬の連用により招かれる薬剤に対する腫瘍細胞の耐性化が,薬物治療において大問題となっている.天然由来二次代謝産物からなる化合物ライブラリーは,ケミカルスペースの多様性に富むため,抗腫瘍薬をはじめとする医薬品のシーズ探索研究において重用されてきた.本研究では,メロテルペノイドを中心に植物由来の細胞増殖抑制効果を持つ抗腫瘍剤のシーズ探索を行うこととし,到達目標の一つに,薬剤耐性のメカニズムの一つであるP-糖タンパク質に作用する化合物の同定を設定する.
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研究実績の概要 |
がんは,異常な細胞増殖を引き起こし,他の臓器に浸潤や転移をする治療満足度が低い疾患の一つである.現在臨床では,タキサン系,ビンカアルカロイド,カンプトテシン ,ポドフィロトキシン,ドキソルビシンをはじめとする天然物由来の抗がん剤は広く用いら れているが,連用によって抗がん剤に対して耐性を有する腫瘍細胞株の出現が大きな問題となっている.腫瘍細胞の薬剤耐性獲得は,P-糖タンパク質の過剰発現や特定の遺伝子の変異の関与等によるものである.その中でも,P-糖タンパク質は,腸や肺,近位尿細管,血液脳関門の毛細血管内皮細胞等に発現するABCトランスポーターの一種で,薬物の排泄に関与するため,その過剰発現は抗腫瘍薬の感受性の著しい低下を引き起こすことが知られている.そのため, 難治性のがんに対する治療薬の開発は喫緊の課題である.よって,本課題では薬剤抵抗性株に対し細胞毒性を示す化合物やP-糖タンパク質を阻害する化合物の探索に焦点を絞る. そこでテルペノイド類が含有される Eucalyptus 属植物などに着目した.すなわち銀丸葉ユーカリ(E. cinerea)などのEucalyptus 属植物や同じフトモモ科植物のグアバ(Psidium guajava), ヘクソカズラ(Paederia scandens)などについて,それぞれに適した溶媒を用いて室温条件下において冷浸抽出し,抽出エキスを調製し, HPLC-Q-ToF-MSによってを研究素材とすることとした.その抽出エキスに対して液液分配を行い,各種分画を得た.それらの分画を順相,逆相カラムクロマトグラフィー,ゲル濾過クロマトグラフィー,および高速液体クロマトグラフィーを用いて繰り返し行い単離精製を行う.得られた化合物をNMRやCDスペクトルの解析によって構造を解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フトモモ科植物銀丸葉ユーカリ(Eucalyptus cinerea)葉部のクロロホルム抽出エキスより,フロログルシノールにテルペノイドが結合したメロテルペノイド類をはじめとする計25種類の化合物を単離した.このうち,2種類の化合物が新規化合物として得られ,一次元NMRおよび2次元NMR(HMQC, HMBCおよびDQF-COSY)の詳細な解析により,平面構造を得たのちにNOESY相関を観測することでこれらの相対立体配置を決定した.また,新規化合物の絶対立体配置を円偏光二色性スペクトルの測定値と計算で求めた予測値との比較および 、過去の文献における経験的解釈を併せて絶対立体配置を決定した.加えて,他3種類の化合物については,これまでに化合物の報告はされてきたが,一部立体配置が決定しておらず,また,相対立体配置のみの決定であったことから,前述の新規化合物と同様の手法を用いてその絶対立体配置を含めた立体構造の決定を行った. フロログルシノールとテルペノイドの付加体やその類似化合物が報告さており, 類似の化合物が期待されるフトモモ科植物のグアバ(Psidium guajava)果実の成分探索を行った. その結果,グアバ(Psidium guajava)からはアシルフロログルシノールとテルペノイドの付加体であるPsidial Aをはじめとする数種類の化合物を単離同定した. また,テルペノイド類含有植物として知られているヘクソカズラ(Paederia scandens)に関しても同様に成分探索を実施した.その結果,ヘクソカズラのアセトン抽出エキスのブタノール分画より数種類の新規の含硫黄イリドイド配糖体を単離した.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,HPLC-Q-ToF-MSおよび生物活性評価の結果を基に成分の分画を進める .Eucalyptusに加えてフトモモ科植物に関しても得られた抽出エキスについて各溶媒を用い て,分液分画を行った後に,順相および逆相クロマトグラフィーに付し複数の分画に分離する.その際,随時HPLC-Q-ToF-MSを用いたMS/MS測定および,生物活性評価を組み合わせることで,主要成分から微量成分まで幅広くターゲット分子を追跡し,単離・精製の指標とする.それらの分画を分取HPLCに付すことで,ターゲット分子を単離・精製する.それらの化学構造は,核磁気共鳴装置(NMR)やMSを用いて決定する.構造解析においては絶対立体配置を含めた化学構造の解明を目指し,各種二次元NMRのデータ解析や質量分析におけるフラグメント解析,円偏光二色性(CD)測定で得られるコットン効果の考察,単結晶X線構造解析といった多様な物理化学的手法を駆使する.また,改良モッシャー法や既知化合物への誘導化等の化学的手法も適宜組み合わせる. また,フトモモ科植物のグアバ(Psidium guajava)果実から得られたメロテルペノイド類の収量が低いことから,葉部などに部位を変更することで,量的確保を目指すと共に,微量成分の探索を引き続き実施する. 得られた 合物の 生物活性評価に関しては,銀丸葉ユーカリとグアバより得られたメロテルペノイドとそれらのテルペン部位における構造活性相関研究等を実施する.有望な化合物に関しては,セルソーターを用いて細胞毒性試験や細胞周期試験及びアポトーシスに関連するタンパク質の発現をウエスタンブロット法を用いて評価する.
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