研究課題/領域番号 |
20K22760
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中河 秀俊 金沢大学, 医学系, 助教 (90743469)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HLA-E / 肝細胞癌 / がん免疫 / 非古典的主要組織適応抗原複合体 / 免疫 / 肝がん / ペプチドーム / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では実際の肝がん組織にどの程度の頻度・強度でどのタイプのHLA-Eが発現しているかを検証し、臨床病態との関連を検証する。さらに肝がんに特異的に発現しTCRで認識されるエピトープペプチドを同定し、ペプチドワクチンやTCR遺伝子治療の可能性を模索する。これまで注目されてこなかったHLA-Eに着目し、NKG2Aを介したがん免疫抑制からTCRを介した抗腫瘍効果へのコンバージョンを試みる。特筆すべき点としてHLA-Eは他のHLAとは異なり多型性に極めて乏しいため、開発した治療がHLAハプロタイプに依存しないユニバーサルワクチン・ユニバーサルTCR遺伝子治療となりうる。
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研究成果の概要 |
これまで十分に解明できていなかったHLA-Eを介した免疫応答につき本研究を通し次のことを発見同定した。手術標本の検討では一部の肝癌細胞に発現がみられるが、主に腫瘍浸潤免疫細胞に発現がみられ、末梢血の検討では、免疫細胞全般でHLA-Eが発現していた。さらに解析することでHLA-Eを認識するT細胞受容体の候補を同定した。肝がんに対する免疫療法症例の検討では、HLA-Eのハプロタイプが0101/0101の場合、無増悪生存期間が短い傾向にあった。これらの結果は、HLA-Eと特定の免疫細胞集団との相互作用が、肝癌の進行および免疫療法への応答に影響を与える可能性を示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで十分に解明されていなかったHLA-Eを介した免疫応答を解析することで、がん治療のみならず、自己免疫疾患の理解の新たな側面を明らかにした。本研究で明らかになったHLA-Eハプロタイプとがん免疫療法の治療効果の関連や、HLA-Eを認識するCD8陽性T細胞の存在、またそのT細胞受容体の同定から、免疫制御の観点からHLA-Eが重要な役割を担っていると考えられた。今後の展開として得られたT細胞受容体の機能解析をすすめ、新たな免疫療法のツールとして利用することを目指す。
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