研究課題/領域番号 |
20K22801
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
薄田 健史 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50880689)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 腫瘍免疫 / HLA / CD8陽性T細胞 / T細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
がん特異的抗原の発現が低いがん細胞(低免疫原性)では、がん細胞が抗腫瘍エフェクター細胞である細胞傷害性T細胞に認識されずにがん免疫療法が十分に奏功しないが、現状ではそれを克服する手立てがない。 一方で抗原提示分子として免疫原性を司るヒト白血球型抗原(HLA)は、その多型と薬物の組み合わせによって異常抗原を提示することにより、自己免疫性の薬物過敏症を惹起することが近年明らかとなってきている。 本研究では、HLAと薬物の相互作用による異物化自己抗原の発現誘導をがん細胞の免疫原性の改善に利用し、腫瘍免疫原性を薬剤誘導性に制御する新たながん免疫治療戦略について検証する。
|
研究成果の概要 |
HLA-B*57:01遺伝子を導入した癌細胞を皮下移植したマウスでは、アバカビル投与により腫瘍の増大が有意に抑制され、腫瘍組織中へのCD8陽性T細胞の浸潤も認められた。さらに、腫瘍内浸潤CD8陽性T細胞におけるサイトカイン産生細胞の割合も有意に増加した。一方で、HLA-B*57:03遺伝子(陰性対照)を導入した癌細胞や野生型の癌細胞を皮下移植したマウスではアバカビル投与群におけるCD8陽性T細胞の浸潤及び腫瘍形成への影響は観察されなかった。以上より、アバカビルとHLA-B*57:01の相互作用による免疫賦活が腫瘍への細胞傷害性CD8陽性T細胞の浸潤を促進し、抗腫瘍効果に繋がることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在のがん免疫療法の課題の1つに、抗原提示能が低い低免疫原性の腫瘍では細胞傷害性T細胞に認識されないため、免疫チェックポイント阻害剤を介しても細胞傷害性T細胞の活性化が誘導されないことが挙げられる。そのため既存のがん免疫療法では限定的な治療効果しか認められておらず、将来的な適応拡大を視野に入れると高効率な細胞傷害性T細胞の活性化法の開発は必要不可欠であった。本研究で実証した『低免疫原性腫瘍の抗原性を向上させる』がん免疫治療戦略によって、この課題への新たな解決策の提示が期待される。
|