研究課題/領域番号 |
20K22829
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 実 東北大学, 大学病院, 助教 (40885547)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ABCC3 / MRP3 / Wntシグナル / 大腸癌 / デオキシコール酸 / ABCトランスポーター / 家族性大腸腺腫症 / 胆汁酸 / 二次胆汁酸 / オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではABCC3が胆汁酸排出トランスポーターとして働くことに着目し、WntシグナルによるABCC3の発現抑制を介して細胞内に蓄積するデオキシコール酸が大腸癌発癌過程に与える影響を明らかにすることを目的とする。 そのために、①前癌病変である腺腫におけるABCC3の発現変化、②ABCC3の発現変化が細胞内胆汁酸濃度に与える影響、③細胞内胆汁酸濃度の変化がMAPKシグナルに与える影響、ならびに腫瘍形成能に与える影響、を臨床検体由来の大腸腺腫オルガノイドを用いたin vitroの研究、ならびに臨床検体と免疫不全マウスを用いたin vivoの研究で検証する。
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研究成果の概要 |
WntシグナルによるABCC3の発現抑制が腺腫で起こっていることを確かめる目的で、家族性大腸腺腫症患者の正常大腸粘膜組織と腺腫組織におけるABCC3の発現を確認した。その結果、腺腫においてABCC3の発現が低下していることを確認した。 次に、大腸癌発癌作用のあるデオキシコール酸をニトロベンゾオキサジアゾール(NBD)で蛍光標識した化合物をABCC3過剰発現大腸癌細胞株(SW620)に投与した結果、過剰発現細胞株で有意に蛍光強度が低下していた。 以上の結果から、ABCC3がWntシグナルによる発現制御を受けることでデオキシコール酸の細胞内濃度を変化させ、大腸癌発癌に関与していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
家族性大腸腺腫症(FAP)はAPC遺伝子に変異を有する常染色体優性遺伝病であり、未治療であれば60歳までにほぼ100%の患者が進行大腸癌を発症する。その標準的な治療方針は若年期に予防的大腸切除術を行うことであり、大腸切除後のQuality of lifeの低下は、その後の生活に多大な影響を与える。 今回、我々は腺腫におけるWntシグナルによるABCC3の発現抑制、さらには細胞内デオキシコール酸濃度の変化に関する新たな知見を解明した。この結果は、FAP患者における腺腫の癌化抑制につながる可能性があり、この新規知見をより詳細に検討・解明していくことで新規治療法につなげたいと考えている。
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