研究課題/領域番号 |
20K22838
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
古橋 暁 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (50875383)
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研究期間 (年度) |
2022-03-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / 神経周囲浸潤 / EphA4 / RNA-seq / in vitro 共培養モデル |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は集学的治療が進歩した現在でも極めて予後不良であり、浸潤や転移をきたしやすい病態の解明とそれらを標的とした新規治療法の創出が強く望まれている。膵癌は高頻度に神経周囲浸潤を伴い, これが予後不良因子で難治性の癌性疼痛の主因とも言われている。神経周囲浸潤は膵癌細胞―神経細胞間の分子レベルでの相互親和性が関与しているとされるが、その詳細なメカニズムは未だ不明である。本研究の目的は、膵癌神経周囲浸潤に関与する遺伝子や蛋白を同定し、そのメカニズムを明らかにすることで新たな治療法を創出することである。
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研究実績の概要 |
本講座で確立したIn vitro膵癌ー神経細胞共培養モデルを用いて、神経親和性のあるヒト膵癌細胞株(MIA paca2)と対照の膵癌細胞株(PANC-1)の遺伝子発現の網羅的解析(RNA-sequencing)を施行した。その解析の結果、神経細胞の刺激を受けたMIA paca2で高発現しているAxon guidance pathwayの分子の一つであるEphrin receptor A4 (EPHA4)に着目した。EPHA4がMIA Paca2にPANC-1に比べて高発現していることをRT-PCR及びWestern blottingでmRNA及び蛋白レベルで確認した。MIA Paca2内のEPHA4をノックダウンするとMIA paca2の持つ神経親和性がキャンセルされることを実証した。以上から、EPHA4が高頻度で起きる膵癌の特性の一つである神経周囲浸潤に関連があるのではないかと考察した。 この結果を元に、複数回の全国学会の発表及び論文報告を行った。(Furuhashi S., et al.Ephrin Receptor A4 Expression Enhances Migration, Invasion and Neurotropism in Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Cells. Anticancer Res, 41(4), 1733-1744. 2021.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書での研究初年度で、遺伝子発現解析から変動遺伝子抽出・機能解析を行うとしており、計画通り研究を行い、新たな知見を得ることができた。その結果を元に全国学会発表及び論文報告を行うことができたため、本研究課題の進捗は順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の課題は現在得られた知見は細胞での実験のみの結果であり、実臨床の結果に落とし込むことが今後の課題となる。 当院の臨床検体を用いた免疫組織学的染色などでのValidation studyや、公共データベースを用いて本研究の成果が他のdata cohortでもあてはまるかどうか検証することが目下の課題である。 最終的には癌の膵癌の神経周囲浸潤に関与する分子メカニズムの解明から新たな治療法を創出することを目的としているため、これらの膵癌神経周囲浸潤を促進する因子をブロックすることで膵癌の挙動がどう変化するかを観察することが目標となる。
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