研究課題/領域番号 |
20K22845
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 善郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10882251)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 三次リンパ組織 / 大腸癌 / 自然リンパ球 / 腫瘍免疫 / TLS / 3型自然リンパ球 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト腫瘍組織内には、三次リンパ組織(TLS)と呼ばれる異所性リンパ組織が存在する。大腸癌を含む複数の固形癌において、腫瘍内にTLSが多く存在する場合、患者の予後がはるかに良好となることが明らかとなっているが、TLSがどのように形成され、抗腫瘍効果を示すのか、その詳細な機序は解明されていない。本研究では、胎生期にリンパ組織形成を誘導するLTi(lymphoid tissue inducer)細胞と類似した性質を有する3型自然リンパ球に着目しながら、ヒト大腸癌組織に浸潤する免疫細胞を解析していく。さらに動物実験を追加して、大腸癌におけるTLS形成のメカニズムの解明を目指す。
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研究成果の概要 |
大腸癌手術症例の切除標本を用いてヒト大腸癌組織に存在する自然リンパ球(ILC)分画を明らかとした。ILC分画の中で、NKp44+ ILC3は、大腸正常粘膜および早期腫瘍に豊富に存在しており、腫瘍間質細胞に作用して、リンパ組織形成を誘導することがわかった。また、大腸癌組織において抗腫瘍免疫作用を示す三次リンパ組織(TLS)は、早期腫瘍で多く見られ、進行腫瘍では密度が減少していた。腫瘍進行に伴うTLSの減少とNKp44+ ILC3の減少は相関しており、NKp44+ ILC3が、三次リンパ組織(TLS)形成を介した抗腫瘍免疫誘導に関与している可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、複数の癌腫において、腫瘍関連三次リンパ組織(TLS)の存在が良好な予後と強く相関することが報告され、新たな腫瘍免疫療法の標的として着目されてきた。しかし、腫瘍微小環境におけるTLS形成ならびに抗腫瘍免疫誘導の詳細なメカニズムは解明されていなかった。本研究では、大腸癌において3型自然リンパ球が腫瘍間質細胞に作用してTLS形成に関与する可能性を示した。更なる研究を追加し、抗腫瘍免疫の誘導が明らかとなれば、TLSを賦活し、腫瘍局所で効率的に抗腫瘍免疫を促進させることで、既存の免疫チェックポイント阻害剤などとの併用による治療効果の増大が期待できる。
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