研究課題/領域番号 |
20K22851
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
川俣 太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70825629)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / 遺伝子解析 / ドライバー遺伝子 / hCGβ / ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は最先端のゲノム解析により、膵癌で数多検出される癌の突然変異から治療対象となる遺伝子変異を同定し、その分子機構を解明する研究である。特に、門脈系浸潤を伴う切除可能境界(borderline resectable: BR) 膵癌に対する治療に関しては、ゲノム解析を取り入れることで、術前治療を含む最適な治療戦略を構築できる可能性がある。具体的には、膵癌の再発形式(局所・遠隔転移)の違いが原発巣の遺伝子変異により異なることが解明されれば、局所再発が高いと予想される症例では術前化学放射線療法(CRT)を、遠隔転移の可能性が高い症例では化学療法の期間を長くすることで膵癌の長期予後を改善できる可能性がある。
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研究成果の概要 |
膵癌はKRAS、TP53、CDKN2A、SMAD4がドライバー遺伝子と考えられている。過去に我々は大腸癌原発巣と転移巣のゲノム解析にて肝転移巣で有意にコピー数の増加(ERBB2、FGFR1)を認める症例を同定した。今回、hCGβの遺伝子に着目し、分子病理学的検討を施行した。膵癌のhCGβの発現は約70%に認められ、hCGβの発現は予後不良因子であった。またhCGβをノックダウンした膵癌細胞株の浸潤能、遊走能は有意に低下しており、Slug、Vimentin、α-SMAの発現低下が認められ、EMTへの関与が疑われた。膵癌においてhCGβの発現が新たな分子標的マーカーとなる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌は極めて予後不良な悪性疾患である。特に、門脈系浸潤を伴う切除可能境界(borderline resectable:BR) 膵癌に対する治療に関しては外科的な解剖学的因子のみならず、ゲノム解析による膵癌の宿主側因子を取り入れることで、術前治療を含む最適な治療戦略を構築できる可能性がある。今回、我々の研究においては、膵癌におけるhCGβ発現が術後の予後や再発に関与する可能性が示唆されたため、術前遺伝子解析によりhCGβのコピー数の増加や遺伝子変異を認めた症例に関しては、術前化学放射線療法(CRT)を選択したり、術前化学療法の期間を長くすることで膵癌の長期予後を改善できる可能性がある。
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