研究課題/領域番号 |
20K22861
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
今村 泰輔 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20870489)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / リキッドバイオプシー / 予後予測 / 個別化医療 / 術前補助療法 / バイオマーカー / 個別化治療 |
研究開始時の研究の概要 |
今後は膵癌において手術前に化学(放射線)治療を行う戦略が標準治療となると思われます。術前治療において各々の患者さんにおける効果や副作用を事前に予測し個別化治療を行うことが、治療成績の向上に必須であると考えています。癌患者さんの血液中には、その癌由来の核酸(DNAやRNA)が存在しており、採血によってその核酸を採取、分析し病気の性質、薬剤への感受性を予測することが可能であることが近年明らかとなってきています。今回、術前化学療法を行う前の患者さんの血中の腫瘍由来核酸を分析して化学療法の効果や、治療経過との関連を調べ、今後膵癌術前化学療法の効果予測に有用な指標を見つけ、個別化治療の実現を目指します。
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研究成果の概要 |
膵癌の周術期の薬物選択の指標となる遺伝子異常や、治療結果を予測できるバイオマーカー開発、それに基づく個別化治療の確立が、膵癌の更なる予後改善に不可欠である。本研究は、周術期の採血により腫瘍由来の遺伝子異常を検出(リキッドバイオプシー)することの臨床的意義を検討した。膵癌患者の術前採血を用いて網羅的に遺伝子異常を解析したところ、ドライバー変異が検出された患者は有意に早期再発が多く、予後不良であることが明らかとなった。さらに、組織検査では同定されなかった薬物選択の指標となる遺伝子異常も検出された。リキッドバイオプシーを用いた網羅的遺伝子解析は個別化治療の実現に有用である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌における血中遊離DNAの研究は、膵癌の主要な遺伝子異常であるKRAS変異の検出が主に試みられてきた。血中遊離DNAにおけるKRAS変異の同定は膵癌の予後を予測し得ることが報告されている。一方で、KRAS変異を標的とした薬物治療は未だ開発されておらず、薬物療法の指標とはなり得なかった。我々は、410遺伝子を対象として網羅的に遺伝子異常を解析した。これまでと同様に血中のDNA異常の解析は予後予測が可能であることに加えて、低頻度ではあるが薬物治療の指標となる遺伝子異常が検出されることを明らかとした。今回の知見がリキッドバイオプシーを指標とした膵癌の個別化医療の実現に貢献し得るものと考える。
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