研究課題/領域番号 |
20K22874
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
関 恒慶 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10878424)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アルツハイマー / GAL3BP / アルツハイマー病 / Aβ / GAL3BP発現トランスジェニックマウス / ADモデルマウス / 小ユニットペプチド / APP / BACE1 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会における認知症患者の増加は医療・社会的にも解決すべき喫緊の課題である。認知症の中でも最も多いアルツハイマー病は生活習慣病とも大きく関連しているが、有効な治療・予防法は確立されていない。そこで本計画では、申請者らが新たに見出した内在性のAβ制御因子GAL3BPに着目し、これがアルツハイマー病の治療標的となることを、アルツハマー病モデルマウスを用いて実証し、GAL3BPを用いた治療戦略を構築し、GAL3BPのAβ産出抑制の最小機能ペプチドを同定し、ペプチド創薬にむけた基盤的知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
現在、GAL3BP発現トランスジェニックマウスを作出し、ADモデルマウスAPPNL-G-F/NL-G-Fマウス(Saito et al, Nature Neurosci 2014:理研BRCより購入)と掛け合わせている。得られた二重変異マウス(ヘテロ)の脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)の評価をおこなったが、GAL3BPの発現は見られたが、現状では、Aβの明らかな変化は見られなかった。引き続き作成中の二重変異マウス(ホモ)の脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)指標に、GAL3BPのAβ産出抑制活性をin vivo で評価を続けている。神経病理は、神経炎症とシナプス変性を指標に、また、認知機能については、学習・記憶、社会行動に関するマウス行動解析試験(バーンズ迷路、T字型迷路)を実施し評価している。脳内のGAL3BP発現による、遺伝子発現変化も確認を行う準備も進めている。また、全身(肝臓を中心として)におけるGAL3BPの発現、臓器への影響も加えて評価を行っている。 GAL3BPのAPP結合に関わる最小ユニットを同定については、GAL3BPを分割した小ユニットペプチドの作成を種々作成しながら、それらのAPP結合活性とAβ産出抑制活性を、APP発現培養細胞を用いた免疫沈降法とELISA法で検証を継続している。上記の計画を遂行予定だが、コロナ禍もあり、時間や人手の不足といった、当初予想していなかった状況もあり、予定よりもやや遅れた研究進捗となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画を遂行予定だが、コロナ禍も含め、臨床業務の増大など、時間や人手の不足といった、当初予想していなかった状況もあり、予定より遅れた研究進捗となっている。また、GAL3BP、Aβの新規評価方向の手技会得にも時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、GAL3BP発現トランスジェニックマウスを作出しており、今後もアルツハイマー病モデルマウスAPPNL-G-F/NL-G-Fマウス(Saito et al, Nature Neurosci 2014:理研BRCより購入)と掛け合わせる。得られた二重変異マウスの脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)を指標に、GAL3BPのAβ産出抑制活性をin vivo で評価中である。神経病理は、神経炎症とシナプス変性を指標に、また、認知機能については、学習・記憶、社会行動に関するマウス行動解析試験(バーンズ迷路、T字型迷路)を実施し評価中である。これらにより、GAL3BPのAβ産出抑制効果とアルツハイマー病の進行抑制効果が個体レベルで明らかになり、GAL3BP療法のProof-of-Conceptを示すことを目指している。 また、GAL3BPを分割した小ユニットペプチドの作成ができ、今後、それらのAPP結合活性とAβ産出抑制活性を、APP発現培養細胞を用いた免疫沈降法とELISA法で検証中である。得られた最小ユニットをペプチド合成し、アルツハイマー病モデルマウスへ投与し(経静脈、経髄液、経腹腔)、Aβ産出量、神経病理、認知機能を評価したい。ペプチドの脳内移行および体内動態は、蛍光標識ペプチドを用いて評価する。機能性ペプチドで効果が得られない場合は、全長の組換えGAL3BPの投与を検討している。本計画により、GAL3BPの機能ユニットを用いたペプチド創薬の基盤的知見が得られる。 ADの治療標的となることを、ADモデルマウスを用いて実証し、GAL3BPのAβ抑制の最小機能ペプチドを同定することで、ペプチド創薬にむけた基盤的知見を得ことを目標としている。
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