研究課題/領域番号 |
20K22887
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
本山 美久仁 兵庫医科大学, 医学部, 博士研究員 (20873615)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グルテン感受性 / グルテン不耐症 / 抗グリアジン抗体 / 統合失調症 / うつ病 / グルテン専門外来 / 抗グリアジンIgG抗体 / グルテン / グルテンフリー食 |
研究開始時の研究の概要 |
グルテンとは、小麦に含まれるグリアジンとグルテニンが結合して生成される蛋白質であり、日常的に摂取される食品に多く含まれている。グルテン感受性とは、グルテン摂取により、腹痛、下痢、頭痛、倦怠感、抑うつ、不安等の様々な 身体・精神症状を呈する症候群である。グルテン感受性と臨床的背景との関連は全く明らかになっていない。 本研究では、統合失調症、うつ病患者を対象に、グルテン感受性の血清学的マーカーである抗グリアジン抗体等を用いて客観的にグルテン感受性を評価し、臨床的背景との関連性を調べる。さらに、グルテン感受性を有する精神疾患患者において、グルテンフリー食摂取の治療有効性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度はグルテン不耐症の症状や抗体価についての検討を行った。兵庫医科大学病院グルテン専門外来を受診した20歳-70歳のグルテン不耐症と、対照群としてグルテン感受性に関連する症状の自覚のない20歳-70歳を対象とした。血液を採取し、ELISA法にて抗グリアジンIgG抗体などのグルテン関連抗体を測定した。また精神症状、身体症状を問診および自己記入式質問紙について評価した。グルテン不耐症群では、消化器症状、易疲労感、睡眠関連問題を有する割合が高く、身体症状だけではなく、うつや不安の症状を有する割合も高かった。免疫学的グルテン感受性群では、非免疫学的グルテン感受性群に比べ、自覚症状を有する者が多く、過敏性腸症候群の診断基準を満たす者やQOLの低い者が多かったことから、消化器に影響を及ぼしていると考えられる。今回、抗グリアジンIgG抗体陽性の感度は38%と低く、バイオマーカーとして抗グリアジンIgG抗体のみを用いても、グルテン不耐症の診断には十分ではないと考えられた。グルテン不耐症の正確な診断基準を確立するためには、複数のバイオマーカーを組み合わせて使用することが望ましく、抗グリアジンIgG抗体だけでなく、他の客観的な指標も必要であると考えられた。 これらの結果は第118回日本精神神経学会学術総会、22nd IUNS-International Congress of Nutritionで報告を行い、論文化を予定している。現在、うつとグルテン不耐症の関連についての解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大の影響で患者群のリクルートが困難な期間があり、当初の予定より収集できている症例が少ない。解析については順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、うつのグルテン感受性について解析を行っており、結果は2023年の第119回日本精神神経学会学術総会で報告予定である。対象症例については引き続き募集を行い症例数を増やしていく。また、グルテン感受性者の背景因子についての詳細の解析も進めていくとともにグルテンフリー食の有効性についてもさらに検討を行う。
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