研究課題/領域番号 |
20K22921
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0903:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
菅原 翔 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (80880682)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 近位尿細管 / 脂質代謝 / Carboxylesterase 1 / 腎臓 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病(CKD)は進行すると血液透析や腎移植が必要となる他、心血管合併症の強力な危険因子となっている。 CKDの腎臓では脂質代謝経路に異常が生じており,その改善がCKD克服に重要である。しかし実用的な腎脂質代謝改善薬は未だ存在せず、新たな薬剤の創出が望まれている。 脂肪酸エステラーゼの一つ、Carboxilesterase1(CES1)は腎近位尿細管における脂質代謝を促進し、腎障害を軽減する機能を持つことが明らかになっているが、腎臓におけるその詳細な働きは十分に解明されてはいない。本研究ではCES1の検討を通じて、腎脂質代謝改善薬の開発につなげることにより、CKD克服を目指すことを目的とする。
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研究成果の概要 |
我々は脂肪酸エステラーゼの一つ、Carboxilesterase1(CES1)の腎臓における脂質代謝促進作用に着目して、慢性腎臓病(CKD)治療薬としての可能性を検討した。高脂肪食負荷モデルマウスにおいて、腎臓におけるCES1の発現が上昇していることを明らかにした。またCES1の転写因子の一つ、FXRの活性維持により、脂肪負荷時の尿細管障害が軽減することを明らかにした。 ヒト腎近位尿細管細胞株にCES1を過剰発現させパルミチン酸、オレイン酸との共培養を行い、脂肪酸負荷時の細胞障害性を観察した。しかし、CES1過剰発現細胞において脂肪酸負荷による細胞障害性の改善は認められなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腎臓の近位尿細管においてCES1がFXRの調節を受け、脂肪負荷時における脂質代謝能の維持に寄与していることが明らかとなり、これらを標的とした薬剤が脂質代謝異常に伴う腎障害の改善薬となりうる可能性を示した。 培養尿細管においてCES1過剰発現時の代謝障害改善作用は未だ示されていないが、これには培養細胞における代謝変化(近位尿細管は主として脂質をエネルギー源とするが、培養細胞の場合、エネルギー需要が糖質に傾いていることがある)が起因する可能性が考えられた。これに関しても今後、近位尿細管の脱分化、線維化に伴う代謝変化にも着目して検討を続けていく予定である。
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