研究課題
研究活動スタート支援
非特異性多発性小腸潰瘍症は、難治性の小腸疾患であり、近年プロスタグランジン (PG)輸送体をコードするSLCO2A1遺伝子の変異が原因であることが明らかとなったが、その発症機序は不明であり、治療法は確立されていない。また非ステロイド性抗炎症薬起因性小腸潰瘍は、PGの欠乏が病因と考えられており、これらのPG代謝に関連した疾患群に対し、PG関連腸症という疾患概念が提唱されている。本研究ではPG関連腸症の小腸組織におけるPGの分布、効果発現を免疫組織化学的手法から検討するとともに細菌叢や遺伝子発現の網羅解析を行うことでPG関連腸症の発症機序に迫り、新規治療ターゲットを探索する。
非特異性小腸潰瘍症やNSAIDs起因性小腸潰瘍はともにプロスタグランジン(PG)が発症に関与していると考えられるが、その発症メカニズムは明らかとなっていない。我々はNSAIDs起因性小腸潰瘍形成における腸内細菌叢の関与とプロバイオティクスの影響を明らかとするため、RCTを行い、プロバイオティクス内服群では小腸潰瘍の発生率はプラセボ群より有意に少ないこと明らかとした。また小腸の細菌叢の解析にあたり、消化管各部位における細菌叢の相違について検討を行った。今後、NSAIDs起因性小腸潰瘍における細菌叢の変化、非特異性多発性小腸潰瘍症でのPGやそのレセプター、トランスポーターの発現を検討していく。
プロバイオティクスによってNSAIDs起因性小腸潰瘍の発生率を有意に低くすることが示唆されたことにより、今後NSAIDs起因性小腸潰瘍の治療としてのプロバイオティクスの可能性が示された。また今後NSAIDs起因性小腸潰瘍の腸内細菌叢の検討により、NSAIDs起因性小腸潰瘍のみならず、CEASを含めたプロスタグランジン関連腸症の発症メカニズムの解明につながる可能性がある。また今回行った消化管各部位での細菌叢の相違の検討結果から、空腸と十二指腸では類似したクラスターが形成されており、空腸からの検体採取が困難であれば十二指腸から採取した検体も解析対象となりうる可能性が示唆された。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Digestion
巻: - 号: 4 ページ: 1-11
10.1159/000524023
胃と腸
巻: 56 ページ: 1527-1533
巻: 102 号: 6 ページ: 946-955
10.1159/000518103
Medicine
巻: 100 号: 38 ページ: e27287-e27287
10.1097/md.0000000000027287
Cancer Imaging
巻: 21 号: 1 ページ: 66-66
10.1186/s40644-021-00437-z
Hematological Oncology
巻: 39 号: 1 ページ: 145-147
10.1002/hon.2816