研究課題/領域番号 |
20K22932
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0903:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
澤城 大悟 自治医科大学, 医学部, 講師 (40456132)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 平滑筋ミオシン重鎖 / 大動脈平滑筋 / 細胞老化 / メカノトランスダクション / 血管平滑筋 / ミオシン重鎖 / 大動脈解離 / 大動脈瘤 |
研究開始時の研究の概要 |
急性大動脈解離は中膜平滑筋層剥離による致死性疾患である。しかしながら、その発症機序はほとんど解明されていない。当研究グループは平滑筋ミオシン重鎖を長年に亘り研究し、その遺伝子Myh11の新規変異を有する大動脈解離モデルを開発した。しかし平滑筋ミオシン変異による血管老化と大動脈解離の分子機構は解明されていない。 本研究では、平滑筋ミオシン変異マウスの血管機能を種々の動脈で検討する。形質転換及び大動脈解離の分子機構を、KLF5転写因子等から解析する。また本変異は出産時致死性合併症になり得るため、治療法開発が急がれており既存薬のリポジショニングによる有効薬の探索を行う。
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研究実績の概要 |
Myh11変異マウスのフェノタイプ解析を目的として平滑筋ミオシンの遺伝子変異(Exon29 del1263K)による家族性大動脈瘤/解離家系を報告し、改良Crispr-Cas9系で同一変異をB57BL/6マウスに導入した。 本研究ではまず、変異マウスと野生型マウスの表現型を比較検討を行った。Myh11ミオシンヘテロ変異マウスでは、ヘテロおよびホモマウスではフェニレフリン(Phe)に対する大動脈収縮反応が低下することを明らかにした。大動脈の収縮・弛緩機能についてのバイオマーカー、大動脈の組織学的評価、血管壁で発現するRNAの定量的解析、血管平滑筋ミオシンの分子機能など)の解析を進めている。p16-luciferase-MYH11変異マウスを用いた解析ではAII刺激下においてもluciferase活性は大動脈で認められなかった。また大動脈壁脆弱性等平滑筋機能不全についての基礎的検討としてMyh11変異マウス胎児線維芽細胞を使用し放射線障害・化学障害による細胞老化への反応性相違について検討を行った。p53の発現に関して放射線障害下ではMyh11変異線維芽細胞は初期の遺伝子誘導は高値であるものの48時間以降は野生型に比し減弱する傾向であった。Buslfanによる細胞障害に対しては差異を認めなかった。細胞伸展刺激に対しての反応性の差異のメカニズムとしてメカノトランスダクションに関わるFAK等シグナルカスケードの活性化への影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Myh11変異マウスのフェノタイプ解析を目的として平滑筋ミオシンの遺伝子変異(Exon29 del1263K)による家族性大動脈瘤/解離家系を報告し、改良Crispr-Cas9系で同一変異をC57BL/6マウスに導入した。当マウスは妊孕性が低く、解析対象マウスの確保に依然として難渋している。同様に初継代細胞採取による血管平滑筋細胞培養も遅延しており in vitroでの解析が同様にやや遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
Myh11マウスの繁殖を継続・加速し、実験可能な個体を確保し、大動脈・子宮筋・膀胱等の平滑筋組織のRNA定量的解析、平滑筋ミオシンのメカノトランスダクションに関わる分子機能の解析を進める。また平滑筋細胞の細胞老化と組織脆弱性や収縮不全の関連を評価する。初継代線維芽細胞を用いたin vitroの実験系を中心にメカニズム解析を行い、細胞外から細胞内への刺激伝播におけるMyh11変異の重要性についての解析に重点を置く方針とする。
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