研究課題/領域番号 |
20K22948
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
内田 雄一郎 藤田医科大学, 医学部, 講師 (00763997)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵液瘻 / リパーゼ / 脂肪 / 脂肪酸 / 脂肪分解 / 遊離脂肪酸 / 膵炎 / 脂肪分解酵素阻害 |
研究開始時の研究の概要 |
急性膵炎は膵消化酵素に関連した反応が病的に生じて起こる疾患であるが、病態に基づく治 療法は確立されておらず、膵臓外科手術後の合併症である膵液瘻の発生にも術後膵炎が関連している。脂肪分解に伴う遊離脂肪酸産生は、急性膵炎・膵液瘻に共通する重症化機構と考えられている。脂肪分解酵素阻害剤は極めて難水溶性で治療応用が困難であったが、応募者らは種々の生体適合性材料を用いてこれを親水化する方法により、脂肪分解酵素阻害剤を急性膵炎・膵液瘻に対して治療応用することを着想した。本研究の目的は、脂肪分解が病態に与える影響のさらなる解明と、脂肪分解酵素阻害剤を用いた、膵炎・膵液瘻の新規治療方法の基盤手法の開発である。
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研究成果の概要 |
肥満ラットを用いた膵切離膵液瘻モデルを確立した。ラットに対して膵切離を行うことによる従来の膵液瘻動物モデルと比較し、脂肪に対する熱凝固処置を加えることで、膵液瘻の病態が有意に重篤化し、脂肪分解の影響で生存率が低下することが示された。 難水溶性物質である脂肪分解酵素阻害剤を、ポリエチレングリコール等を適切な比率・条件で脂肪分解酵素阻害剤と混合・調整することで脂肪分解酵素阻害剤の腹腔内投与 を安全に実施することが可能になった。脂肪分解酵素阻害剤の腹腔内投与により前述の動物モデルにおいて膵液瘻の重症化が軽減された。脂肪分解抑制機構による膵液瘻の治療という新たな治療戦略についての基礎的な実験根拠をえた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腹部手術後の重大な合併症である膵液瘻はこれまで重症化メカニズムが不明で根本的な重症化予防法が存在しなかった。我々は脂肪分解という全く新しい膵液瘻重症化メカニズムを明らかにし、これに着目して脂肪分解酵素阻害剤を用いた膵液瘻重症化予防法の開発を行った。ラットを用いた重症化膵液瘻モデルを初めて確立した。また難水溶性分子である脂肪分解酵素阻害剤を生体適合性分子と適切に混合することで親水環境である腹腔内への投与が可能となった。開発した親水化脂肪分解酵素(リパーゼ)阻害剤を腹腔内投与することにより膵液瘻重症化防止が可能であることが動物モデルを用いた実験で示された。
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