研究課題/領域番号 |
20K22953
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小原 隆史 岡山大学, 大学病院, 助教 (00880840)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 小腸移植 / 虚血再灌流障害 / 一酸化炭素 / CO-releasing molecules / soluble guanylyl cyclase / carbon monoxide / CORM / 小腸グラフト |
研究開始時の研究の概要 |
近年、腸管機能不全の患者の予後は改善したが、長期にわたる静脈栄養管理は生活の質を低下させ、合併症は時に致死的である。小腸は他の臓器よりも虚血再灌流障害に弱く、移植後も急性・慢性拒絶反応が高い傾向にあることから、移植が困難な臓器であるが、小腸移植でしか救命できない患者がいるのは事実であり、移植後虚血再灌流障害の抑制は小腸移植の発展に必要不可欠と考えられる。本研究の目的は、抗炎症作用、抗アポトーシス作用をもつシグナルガス分子としてCO-releasing molecule; CORMを溶解した保存液を小腸グラフトの管腔内に投与することで、移植後虚血再灌流障害を制御できるかどうかを調べることである。
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研究成果の概要 |
雄性LEWラットにて同種同系・同所性小腸移植モデルを作成し、生理食塩水またはUW液に6時間保存した後、腸管腔内に水溶性CO遊離分子(CORM-3:100μM)を注入し、移植3時間後に組織学的・免疫学的検討を行った。対象群として空気中にCOを脱気させたiCORM-3を用いた。CORM-3投与群では、小腸粘膜構造が保たれ、腸管透過性や抗炎症性サイトカインの発現が抑制されていた。生存実験においても優位性を認めた。メカニズム解析として、Soluble guanylyl cyclase (sGC)/cGMPの関連を考え、sGCの阻害剤であるODQを用いたところ、CORM-3の効果が抑制されていた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
小腸は他の臓器よりも虚血再灌流障害に弱く、移植後も急性・慢性拒絶反応が高い傾向にあることから、移植後虚血再灌流障害の抑制は小腸移植の発展に必要不可欠と考えられてきた。一酸化炭素(CO)は抗炎症作用を持つシグナルガスとして臨床応用が期待されているが、気体では細胞内窒息に中毒性が懸念される。一方、CO供与体であるCORMsはCO-Hb濃度を上げることなく、標的組織内にCOを取り込ませることが可能となる。また、本方法はCORM含有保存的をグラフト腸管内に充填するだけであり、簡便で臨床的に汎用性の高い方法となり得る可能性がある。本方法の有用性が実証されれば、医療経済的観点からも意義が大きいと思われる。
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