研究課題/領域番号 |
20K22955
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
奥村 隆志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00883422)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | IPMN / 膵オルガノイド / CAF / ニッチ因子 / 癌微小環境 / 膵癌 / オルガノイド / GNAS変異 / CRISPR screening / 個別化医療 / syngenic model / CRISPR Screening / 同所移植 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は難治性の消化器癌であり、新しい診断・治療法の確立が急務である。IPMNは膵臓に発生する嚢胞性の腫瘍で、膵癌の前がん病変であることが知られているが、悪性化に関わる分子生物学的機序については不明な点が多い。IPMNではKRAS、GNAS、RNF43等の遺伝子変異が高頻度でみられ、IPMNの発生に重要と考えられている。今回我々は、これらの遺伝子変異をマウス由来膵オルガノイドに導入してIPMN膵オルガノイドとそれを用いたsyngenic modelを確立し、網羅的遺伝子スクリーニングであるCRISPR ScreeningによってIPMN膵オルガノイドモデルの悪性化責任遺伝子を同定する。
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研究成果の概要 |
IPMNの発生過程及びその悪性化の過程を分子生物学的に明らかにすることは、IPMNの癌化の早期発見、癌化の予防に繋がると期待される。 我々はIPMNの疾患モデルとして、膵癌自然発癌マウス(KCマウス)より樹立したオルガノイドに遺伝子変異を導入してIPMNオルガノイドの樹立を目指した。その過程で膵癌オルガノイドの樹立の手技を確立し、樹立したオルガノイドが形態学的違いによって増殖形態が異なることを発見した。オルガノイドを用いた形態学的分類によってCAFが産生するNiche因子への依存性が異なること、更に癌微小環境中のNiche因子への依存性が抗癌剤への感受性や予後にも関与していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
IPMNは膵臓に発生する嚢胞性の腫瘍で、IPMNと診断された患者に対して適切な画像診断やフォローアップを行うことで、早期膵癌の診断件数が向上し、膵癌全体の治療成績の改善に大きく寄与する可能性が期待されている。本研究では、膵オルガノイドを用いた形態学的分類を行い、膵癌の分化度ごとの特性を比較・検討したところ、分化度の高い膵癌オルガノイドでは腫瘍の進展において、CAFが産生するNiche因子の一つであるR-spondinに対する依存性がより高いことが明らかになった。これらの結果は、停滞する膵癌新規治療の開発において、個別化医療への応用につながる重要な知見であると考えられる。
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