研究課題/領域番号 |
20K23028
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 鹿児島大学 (2022) 広島大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
西尾 文子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00881294)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 金属代替材料 / ポリエーテルエーテルケトン / 歯冠修復 / PEEK / CAD/CAM / 抗菌作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の高い材料加工性と銀ナノ粒子の高い抗菌作用に着目し、双方を併せもつ全く新しい歯冠修復材料である抗菌性PEEK冠を開発することを目的とする。 そのために銀ナノ粒子を含有させたPEEK冠を試作し、動物実験や材料実験を行い、生体安全性や抗菌活性に加えて接着強さ、機械的強度、表面性状、二次齲蝕試験を解析し、金属代替材料としての有用性について検討する。 開発する抗菌性PEEK冠は、プラーク付着やそれに伴う歯周炎・二次齲蝕の減少による口腔衛生および全身の健康状態の改善に寄与することが期待できる。
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研究成果の概要 |
PEEKに銀ナノ粒子を含有させたPEEK材を作製し、その抗菌性をJIS Z 2801を参照して測定した。その結果、ミュータンス菌に対して生菌数の減少はみられたが、抗菌性を有する判定水準には達しなかった。試験片表面をESCAにて測定した結果、無加工のものでは銀が検出されず、表面を一層研磨したものでは銀がわずかに検出された。このことから抗菌性の低さの原因は表面に抗菌作用物質が露出していないためであると考えた。また、PEEKの表面の物理的な性状が菌の付着に影響を及ぼしている可能性に着目し、PEEK材の表面性状の評価を行い、既存の研磨材を用いた研磨で十分な表面の滑沢さを得られることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
PEEKはその科学的、物理的安定性から、新規生体材料として大きく注目されている。さらに、歯科用貴金属の価格高騰が新たな問題となっており、価格変動が少なく安定した供給が可能である材料に対する需要が増しており、PEEKのような金属代替材料の解明は急務である。そこで、PEEKの高い材料加工性に着目し、材料に抗菌性を担持させることで付加価値をもつ歯冠修復物を開発することを着想した。抗菌成分を含有する歯冠修復材料の開発により認知機能が低下した高齢者に対して定期的に行う必要のある口腔ケアの効果を増強させ、より口腔衛生状態を改善させることが可能となると考えた。
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