研究課題/領域番号 |
20K23041
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
乾 賢 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (40324735)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 味覚嫌悪学習 / 扁桃体中心核 / 神経性食欲不振症 / 行動 / 化学遺伝学的手法 / 味 / 記憶 / 想起 / 嗜好性 / 恐怖 / 味覚 / 脳 / 扁桃体 / 学習 / 学習・記憶 / 中心核 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔機能の最も重要な役割は摂食にある.口腔の感覚情報が中枢へ入力し,最終的に摂食という行動として表出する.この口腔から摂食行動へと至る生理的メカニムズを明らかにするために,味覚嫌悪学習の中枢神経機序を調べる.先行研究において,扁桃体中心核が味覚嫌悪学習に関与することが示唆されたが,その詳細な役割は不明である.本研究では,化学遺伝学的手法を用いて,扁桃体中心核の神経活動を促進あるいは抑制し,その時の動物の行動の変化を,微細行動分析システムによって明らかにする.それによって,味覚嫌悪学習における扁桃体中心核の役割を解明する.この研究は口腔と摂食の神経基盤に関する研究に広く発展すると期待される.
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研究成果の概要 |
味覚嫌悪学習の中枢神経機序を明らかにすることを目標とした.本研究課題では,これまでの知見に基づいて,扁桃体中心核の役割を調べることを目的とした.微細行動分析システムを構築し,化学遺伝学的手法による神経活動の制御が摂取行動に及ぼす影響を調べた.興奮性人工受容体を扁桃体中心核ニューロンに導入した後,甘味溶液に対する条件づけを行った.テストにおいて人工リガンドを投与したところ,溶媒を投与した対照群に比べて甘味溶液の摂取が増加した.この増加は不味と不安の減弱によるものであることがわかった.したがって,扁桃体中心核は味覚嫌悪学習においてみられる不味・不安による摂取抑制に関わることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
摂食障害の一つである神経性食欲不振症は食事制限や過剰な運動が契機となって発症し,栄養失調や長期に渡る痩せを引き起こす.場合によっては死に至る深刻な疾患であるが有効な治療法はない.罹患者は食物に対する不味や不安を感じる傾向にある.したがって,食物摂取後の体調不良が契機となる味覚嫌悪学習は発症機序が異なるものの,不味や不安による摂取の抑制という点で,神経性食欲不振症と症状が共通している.本研究によって扁桃体中心核が味覚嫌悪学習における不味と不安による摂取抑制に関わることが示唆された.したがって,扁桃体中心核を対象として神経性食欲不振症の新たな治療法を開発する意義が本研究によって示された.
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