研究課題/領域番号 |
20K23042
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠原 優太 東北大学, 大学病院, 医員 (00876477)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 低酸素 / 糖代謝 / pHスタッドシステム / リアルタイムモニタリング / 口腔扁平上皮癌 / ROS / 口腔がん / メタボローム / がん細胞の代謝 / 口腔癌 |
研究開始時の研究の概要 |
がん組織の内部は、低酸素環境に陥りやすいが、その酸素濃度は一定ではなく、転移や播種の過程で変化する。そのため、がん細胞の真の代謝を解明するためには、酸素濃度という環境因子の変動が、代謝活性および代謝機構に及ぼす影響を調べることが重要である。そこで、口腔扁平上皮癌細胞由来株を用いて、酸素濃度変動条件下における糖代謝活性を、代謝活性リアルタイムモニタリングシステムと低酸素環境実験システムを組み合わせた新たなシステムを用いて評価したい。また、活性酸素種や代謝中間体についても、メタボロームを活用し解析することで、どのようにがん細胞の代謝動態へ影響を及ぼすのかを明らかにすることを目指したい。
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研究成果の概要 |
がん細胞、正常細胞共に、酸素濃度に関わらずほぼ同様の増殖は可能だが、糖代謝の様相は大きく異なった。がん細胞の糖代謝は急激な低酸素化の影響を受け難いと考えられた。また、1%酸素下培養細胞では、がん細胞においてのみ、大気下代謝時に乳酸以外の酸産生が大きく増加する特徴が見られた。低酸素下の培養がん細胞で観察された酸素濃度上昇による糖代謝の活性化とそれに伴う乳酸以外の酸産生亢進は、TCAサイクルを経て電子伝達系に至る酸化的リン酸化の活性化によるエネルギー供給の急増を示唆し、合わせて観察されたROS産生増加は、細胞傷害やシグナル伝達を介する表現型の変化を起こす可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、細胞の代謝活性を低酸素環境においてリアルタイムにモニタリングすることで、がん周囲環境中の酸素濃度の変動が、がん細胞の代謝に影響を及ぼすこと、さらには単純な酸素濃度の違いだけはなく、高酸素から低酸素、低酸素から高酸素濃度条件といった濃度変動により、より多彩な代謝反応の変化が起きることが明らかとなった。本研究結果は、がん細胞の代謝は、複雑にその様相が変化していくがん周囲の微小環境を再現しながら探っていく必要性が高いこと、その際、単純に環境を変えるだけではなく、その変動という視点を加味することが必要であることを示唆し、これからの細胞代謝研究に新たな視点を与えるものとなった。
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