研究課題/領域番号 |
20K23062
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
森井 葵 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (20882046)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 歯科矯正 / 痛み / TRPV4 / 歯根膜 / 線維芽細胞 / 自由神経終末 / 歯科矯正学 / 疼痛 / 酸化ストレス / ROS |
研究開始時の研究の概要 |
長期に渡る矯正治療中、患者の多くは痛みや不快感を訴える。しかし、歯の移動に伴う痛みの発症機序は不明な点が多い。これまで、矯正力によって歯周組織で酸化ストレスが生じることが分かっているが、どのように機械刺激が受容されるかはわかっていない。本研究では、侵害受容に関わるとされるTRPチャネルの中で、機械感受性を持つことが知られているTRPV4に着目し、実験的歯の移動モデルを用いて、行動学的、免疫組織化学的手法およびin vitro実験を行うことで、TRPV4を介した歯の移動に伴う疼痛発症機序を解明することを目的とする。本研究の成果は、新規鎮痛薬開発の基盤を与えるものと期待される。
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研究成果の概要 |
歯科矯正時の痛みは、歯根膜への機械刺激が原因と考えられている。本研究は、機械受容分子の1つであるTRPV4に着目し、歯科矯正時の疼痛発症への関与について検討した。ラット歯根膜において、線維芽細胞と自由神経終末にTRPV4は発現していた。ラット歯科矯正モデルにおいて、侵害応答指標であるラビング時間延長はTRPV4拮抗薬の投与により有意に抑制された。培養ヒト歯根膜線維芽細胞に対する圧刺激はATP分泌を促進させたが、TRPV4拮抗薬は何ら影響を示さなかった。これらのことより、歯科矯正時の疼痛は、歯根膜中のTRPV4発現神経終末が直接的に機械刺激を受けて発症することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯科矯正時の痛みは患者に苦痛を与える負の要素である。日々患者と向き合っている中で、この痛みをなんとか除去できないかと思うことは多い。本研究により、TRPV4という機械受容イオンチャネルが歯の移動時に引き起こされる痛みに関与することを動物実験にて明らかにした。将来的に、このTRPV4を標的とした製薬に発展すれば、歯科矯正患者の治療時の痛みを軽減できるかもしれない。本研究では歯根膜線維芽細胞に発現しているTRPV4の機能を明らかにすることができていないので、今後の課題としたい。
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