研究課題/領域番号 |
20K23111
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
畑野 紗希 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (40882014)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 薬物性歯肉増殖症 / NR4A1 / ブチリデンフタリド |
研究開始時の研究の概要 |
薬物性歯肉増殖症は抗てんかん薬(フェニトイン)、Ca拮抗薬、免疫抑制薬(シクロスポリンA)を内服する患者に見られる副作用で、歯肉の過形成を特徴とした歯周疾患である。これまでにすべての薬剤で発症する歯肉増殖症に、核内受容体NR4A1の機能抑制が関与していることを明らかにした。NR4A1の機能を維持もしくは活性化することが出来れば、歯肉増殖症を治癒できる可能性がある。そこで本研究では、NR4A1の発現を上昇できることが報告されている化合物を用いてその効果を検証する。
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研究成果の概要 |
薬物性歯肉増殖症はシクロスポリン、ニフェジピン、フェニトインの副作用で、歯肉の肥厚を特徴とする。現在の治療法は主に変薬だが、多剤服用や疾患の複雑化、高齢化のため治癒が困難なケースも多く見られる。変薬不要な侵襲が少ない新規治療法の開発が求められる。これまでに当研究室では、いずれの薬剤で発症する歯肉増殖症にもNR4A1の機能抑制が関係していることを確認した。そこで、既に臨床応用されておりNR4A1の発現を上昇させる化合物ブチリデンフタリドに着目し、当研究室が確立したシクロスポリン誘導性の歯肉増殖症マウスモデルに作用したところ、歯肉肥厚の改善を認めた。また、口腔内に塗布しても同様の結果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた成果は、薬物性歯肉増殖症の新規治療薬開発に繋がる重要な知見と考える。これまでに、NR4A1のアゴニストであるシトスポロンBをシクロスポリン誘導性歯肉増殖症マウスモデルへ投与することで歯肉肥厚が改善したことを確認しているが、シトスポロンBは糖新生やがん細胞のアポトーシスを抑制するなど、全身への影響が懸念されることから治療薬として適切ではない。本研究で薬物性歯肉増殖症の新規治療薬開発に繋がる成分として、ブチリデンフタリドの可能性を見出した。これまで課題であった、変薬不要な、薬物性歯肉増殖症を治癒させる治療法の開発に繋がる将来性のある研究結果となった。
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