研究課題/領域番号 |
20K23120
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川崎 詩織 日本大学, 歯学部, 専修研究員 (30876397)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中脳水道周囲灰白質 / コリン作動性ニューロン / ムスカリン受容体 / GIRKチャネル / 中脳水道灰白質 / 下行性疼痛抑制系 / 情動 / 慢性疼痛 / 疼痛下行抑制経路 / 社会心理的ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
疼痛研究では、神経回路レベルにおけるメカニズムが非常に注目されている。慢性疼痛の増悪因子であるストレスへの曝露に着目し、下行抑制経路を司る中脳水道灰白質の神経活動に対して、社会心理的ストレス負荷がどのように影響するかについて明らかにすることを目的として本研究を立案した。実験には光遺伝子技術と電気生理学的手法を導入し、特異的な神経回路を刺激もしくは抑制することで、慢性的ストレスと疼痛制御系の中枢神経回路の変調の関係を検討する。本研究による成果はストレスと慢性疼痛の関連性に重要なエビデンスを与えることが期待でき、新規治療法開発の一端を担う可能性が非常に高いと思われる。
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研究成果の概要 |
我々は中脳水道周囲灰白質(PAG)に着目し本研究を行った。PAGには高頻度に自発性発火を示すコリン作動性ニューロンが存在した。このコリン作動性ニューロンはムスカリン性受容体作動薬により、ムスカリン2(M2)受容体が活性化しGタンパク質活性型内向き整流性カリウム(GIRK)チャネルの開口が生じて急速な過分極を引き起こすことが示された。また高頻度にコリン作動性ニューロンを発火させることで急速な過分極が起きたため、コリン作動性ニューロンはアセチルコリンの自己分泌もしくは傍分泌によるM2受容体の活性化を介したGIRKチャネルの開口により自己興奮性を調節している可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中脳水道周囲灰白質のコリン作動性ニューロンに発現するムスカリン2(M2)受容体がアセチルコリンの自己分泌もしくは傍分泌によって活性化し、受容体に共役するGタンパク質活性型内向き整流性(GIRK)カリウムチャネルが開口して過分極することで自己興奮を制御している可能性について示した。中脳水道周囲灰白質は疼痛制御の要衝であり、本研究で得られた成果は既存の疼痛治療に対して抵抗性のものに対して新たな創薬ターゲットとして期待される。
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