研究課題/領域番号 |
20K23173
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
中川 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60877661)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 呼気アセトン / 2型糖尿病 / 肥満症 / 教育入院 / 治療モチベーション |
研究開始時の研究の概要 |
減量は肥満症や糖尿病の治療に重要である。アセトンは脂肪酸の燃焼で生じるケトン体で呼気中に排出される。呼気アセトン濃度は脂肪燃焼の指標となり得る。そこで新規の呼気アセトン計を用いて肥満合併糖尿病教育入院患者を対象に、入院中の呼気アセトン濃度・体重・体組成の推移を評価する。そして退院後も呼気アセトン濃度測定を継続することが体重・血糖管理に有用であるかを検討する。本研究により呼気アセトン濃度の測定が糖尿病教育効果を維持することに有用であるか明らかとなる。
|
研究実績の概要 |
糖尿病治療において、薬物治療だけでなく、食事運動療法による適正な体重の維持が重要である。しかし一般に減量中は体脂肪の燃焼を実感することが難しく、継続に難渋することが多い。アセトンは脂肪酸の燃焼で生じるケトン体で呼気中に排出される。呼気アセトン濃度は脂肪燃焼の指標となり得る。Fat-burning Monitor(以下、FM-001)は呼気中のアセトン濃度を測定するため、簡便かつ非侵襲的であり、その結果を、体脂肪燃焼の目安に反映する機能を有している。減量中に呼気アセトン濃度を定量化することで患者自身が食事運動療法の効果を実感することが可能となり、治療意欲が維持され、糖尿病の日常診療において役立つことが期待される。 本研究の目的は、減量を要する糖尿病教育入院患者を対象に、呼気アセトン濃度測定が入院中、及び退院後外来通院時良好な体重・血糖コントロールの維持に有用であることを明らかにすることである。 令和5年度の研究計画では、研究代表者らの施設で糖尿病教育入院を行った肥満合併2型糖尿病患者を対象に、入院中、FM-001で測定した呼気アセトン濃度とマルチ周波数生体電気インピーダンス法で評価した体重および体脂肪量の連続評価で減量中の推移を検討することであった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大時にはFM-00による呼気ケトン測定に制限があった。2023年5月新型コロナウイルス感染症が第5類感染症となり、その後院内での感染管理についても緩和され、FM-001の運用制限は撤廃され、FM-001と個人で使用する小型呼気アセトンチェッカーの併用し、研究を継続していく方針としている。それによって、糖尿病患者における呼気アセトン濃度測定が有用性・安全性を検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究計画では、呼気ケトン濃度・体組成の連続評価で減量中の推移を検討することであった。研究概要は、研究代表者らの施設で教育入院を行った肥満合併2型糖尿病患者を対象に、入院中連日、Fat-burning Monitor(以下、FM-001)で測定した呼気アセトン濃度とマルチ周波数生体電気インピーダンス法で評価した体重および体脂肪量の推移について検討することであった。目標症例数は探索的に20例としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に移行した後も面会制限など院内での感染対策は継続しており、FM-001による呼気検査の実施には困難があった。 研究代表者らの施設で実施した先行研究では、糖尿病患者における血中総ケトン体とFM-001を用いて測定した呼気アセトンとの相関を評価し、呼気アセトンは血中ケトン体と強い相関があり、血清Cペプチドが低値でない患者で特に相関が強く、FM-001が糖尿病性ケトーシスを検出するための簡便で潜在的に有用な方法であることを示唆された。この結果を踏まえ、今後呼気ケトン濃度・体組成の連続評価で減量中の推移を検討し、糖尿病患者が安全に糖尿病治療を継続する。また、診療に活用する機器として使用に耐えうる個人で使用する呼気アセトン測定の選定に難渋していたが、現在測定機器・代替となる方法を検討しており、FM-001のデータを、個人で使用する呼気アセトン測定への応用、患者の治療・指導に活用していく。
|
今後の研究の推進方策 |
科研費補助事業期間延長を申請し承認を得た。新型コロナウイルス感染症に関連するFat-burning Monitor(以下、FM-001)の使用に関して院内での実施の制限は解除されたが、個人で呼気ケトン測定をする機器の適切な選定に難渋している。まず、個人で呼気ケトン測定する機器を一般的に入手可能であり、測定結果に信頼が得られる最適な機器を選定する。糖尿病教育入院中、呼気ケトン濃度・体組成の連続評価では、糖尿病教育入院の入院は10日間、食事は通常診療通り28 kcal/理想体重(kg)の食事を提供し、呼気アセトン濃度および体組成(特に体脂肪量)を測定する。また、食行動質問票(以下、BDHQ)、糖尿病QOL質問票(以下、DTR-QOL)、行動変容ステージを評価する。体重、体脂肪量、呼気アセトン濃度の推移を観察し、(1)糖尿病治療薬の種類による相違の比較、(2)呼気アセトン濃度、すなわち脂肪燃焼を示唆する補助的指標が減量効果に与える心理的な影響についても検討する。 さらに同一患者を対象に退院後外来通院中の指導への活用を評価する。退院後4週、12週、24週、36週、52週後外来受診時に呼気アセトン測定を継続する介入群と、使用しない通常指導群の2群にわけ、治療に活用することが可能な個人の小型呼気アセトンチェッカーを選定、もしくは代替となるものを選定して、呼気アセトン測定を継続する群と使用しない通常群の2群に割り付け、その2群において、体重および体脂肪量の推移、血糖マネージメントについて検討する。
|