研究課題/領域番号 |
20K23202
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 (2021-2022) 京都府立医科大学 (2020) |
研究代表者 |
野口 綾子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (20871594)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ICU / パンデミック / クリティカルケア / 医療者の経験 / 患者の経験 / 実践 / COVID19 / エスノグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルスの世界的大流行により、医療施設では人工呼吸器や体外式膜型人工肺ECMOによっても救命が困難な重症患者をかつてないほど同時多発的に抱えている。世界中の医療者が、確実な治療の手立てがなく終息の見通しもたたない中、自らの感染リスクを負い、限られた資源の枯渇に脅かされながら、重症患者の治療やケアに奮闘している。 本研究は、その最前線での参加観察とかかわる人々を対象としたインタビュー調査を行い、そこで生起する現象と医療者の経験から実践の成り立ちを記述しようとする。
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研究成果の概要 |
本研究では、エスノグラフィーの手法を用いて、医療崩壊寸前のパンデミック下で最前線の集中治療室で起こった現象について、かかわる医療従事者や患者家族が何を経験し、どのようにして実践を達成したのかの詳細な調査を行った。集中治療とケア実践の性質、および緊急時の学際的協働の構造について記述でき、多面的な視点が得られた。またパンデミック初期のCOVID-19 ICUで重症化し人工呼吸器を装着した患者について、ICU での不安と葛藤、特に個人用保護具の使用のために医療スタッフとの個別の人同士のやりとりができ疎外感から、なじみの関係性を求める経験について、詳細で情報豊富な記述が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、今後起こりうる新興感染症のパンデミックの危機に備え、現場に必要な準備性やその際の医療者の負担軽減を検討することに役立つ。世界で、また日本国内においても医療水準や背景、施設の特徴や文化が異なる中、どのような状況下で何が起こり、どのような経験につながるのか、構造化して記述した成果は、当事者となった最前線の医療者自身が未曾有の経験を自己理解することを可能にする。さらには他者もその経験を理解することを可能にする。くわえて、パンデミックの渦中から実践を記述した実践誌として学術的な知の集積に寄与する。
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