研究課題/領域番号 |
20K23210
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
松崎 かさね 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 助教 (20881684)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 伊勢湾 / 漁師 / 責任 / ケア / フィールドワーク / 環境問題 / 高齢者 / 漁業 / 日本 / エスノグラフィー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、古くから漁業が盛んな三重県のとある地域で暮らしている高齢の漁師たちが、老いに伴う心身の衰えを抱えながらも日々の生活を続けることを可能にしている論理を、中長期的なフィールドワークから明らかにすることである。つまり、今回の研究で試みるのは高齢者である彼らにどのような支援が必要なのかという視点を一旦取り払い、彼らの生き方を丁寧に紐解くことであると言える。言い換えれば、本研究は彼らの老いた身体を持ち寄って漁を続けるというその実践の仕方に関心を寄せ、彼らなりの「解決」の技法、すなわち、彼らの生を支える論理を見いだすことである。
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研究成果の概要 |
本研究は近年急激に魚(特に底ものと呼ばれる魚介類)が獲れなくなってきている伊勢湾で長年漁をする高齢漁師らにインタビューを行い、彼らのライフヒストリーを描くとともに伊勢湾の衰退をめぐる漁師の認識をヨナスの責任の原理を参照しつつ記述したものである。漁師たちはこの現状を「自然の摂理」などとして了解しており、それは漁をする自分と拮抗する関係にある海の魚および他者の守り難さからもたらされるものであることを論じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は伊勢湾の衰退という現状をめぐる漁師の認識をヨナスの責任の原理を参照しつつ記述したものである。本研究ではまず、これまでのヨナスの議論においてあまり注目されていなかった点、すなわち「二次的な配慮」としての自然への責任という問題提起を取り出し、漁師として自分が生活することと他者を保護することの両立のし難さの中で立ち上がる認識のあり様を1つの責任の様相として論じた。このことは、いわゆる自然保護をいかにすべきかといった問いとは異なる、いわばもう1つの気遣いのあり方を描いたと言える。
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