研究課題/領域番号 |
20K23248
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
平田 祥太郎 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (40880472)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 果実加工食品 / りんごジュース / 抗生物質 / オキシテトラサイクリン / 小スケール化 / 妥当性確認 / 残留農薬 / 食の安全安心 / シナモン / 香辛料 / 残留分析 / 分散固相精製 / Z-sep / 色素除去 / 加工食品 / 加工係数 / 残留抗生物質 / オクタノール水分配係数 / 相関関係 / 模擬残留試料 / 実残留試料 / 残留抗菌性物質 / エマルジョン形成 / 脂質除去 / HPLC / アセトニトリルヘキサン分配 / テトラサイクリン系抗生物質 / 動物性加工食品 / 分析妨害因子 / 加工工程 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、動物性食品に残留する抗生物質が人の健康に与える影響が危惧されている。しかし、残留抗生物質の分析法は未加工食品を対象にしており、加工食品を対象にした手法は確立されていない。その理由は、加工食品中に含まれる変性脂質等の夾雑成分が理化学分析を妨害するからである。 本研究では、脂質除去工程を用いて加工食品中の分析妨害因子の除去法を確立し、残留抗生物質の分析法を開発することを目指す。更に、開発した分析法を活用して食品加工工程における抗生物質の残留動態を明らかにする。 本研究は、加工食品を対象とした残留物質分析における重要な科学的基盤となり、食の安心安全確保に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
2023年度はりんごジュース(果実加工食品)を対象に抗生物質の一つオキシテトラサイクリンを迅速かつ簡便に検出できる分析法を検討した。検討の結果、以下3つのことが明らかとなった。 1. 食品衛生法においてりんごに対してオキシテトラサイクリン残留基準があるが、分析法の検討はこれまで実施されていない。そこで最初に、厚生労働省から示されている未加工食品を対象としたオキシテトラサイクリン通知分析法をりんごジュース(透明タイプおよび混濁タイプ)に準用した場合に、試験操作および分析性能が良好か評価することにした。その結果、混濁タイプの試験の際に固相カラム通液に置いて通液が不良となり、回収率も80%以下となることが分かった。これより、通知分析法は混濁タイプに不適であると考えられた。 2. りんごジュース(混濁タイプ)には一般的な農産物に比べてペクチンが豊富に含まれている。ペクチンは固相カラム通液に悪影響を与えることが知られている。そこで、通知法における試料量(20 g)および固相カラム(2種連結)を小スケール化した改良法を検討することにした。改良法では試料量(10 g)、固相カラム(1種単独)で実施した。改良法を混濁タイプに適用した際には、カラム通液は良好で、回収率は80 %以上となった。 3. 改良法の性能評価のため妥当性確認(試験者1人、1日2併行、5日間)を行った。その結果、真度は70~120 %の範囲内にあり、併行精度および室内精度はともに10 %以下であった。これらの結果は厚生労働省の妥当性確認ガイドラインの目標値を満たしていた。 改良法はりんごジュースに対して十分な真度および精度で試験可能であった。これより、りんごジュースを対象とした残留オキシテトラサイクリン分析法を開発できたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は当初の計画通り、りんごジュース中オキシテトラサイクリンの残留試験法を確立し、興味深い知見を得ることができた。得られた知見を基に学会発表や査読付き学術誌への投稿を実施した。こうした進捗状況より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの取組みにより、農薬として使用される抗生物質を対象に残留分析法の開発に成功してきた。近年、梅栽培において抗生物質ストレプトマイシンの耐性菌が増加しており、その対策としてオキシテトラサイクリンの利用が活性化している。これより、農薬として使用されたオキシテトラサイクリンが梅加工食品に残留しているおそれがある。しかし、梅加工食品を対象とした残留抗生物質の分析法はこれまで検討されていない。 今後はこれまでの知見を活かして、梅加工食品を対象に残留抗生物質分析法を検討していく予定である。学術的な新規性が高く、食の安全安心確保の有用な研究になると考えられる。
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