研究課題/領域番号 |
20K23370
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立極地研究所 (2021) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2020) |
研究代表者 |
伊藤 優人 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (40887907)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海氷 / 氷晶 / 物質循環 / フラジルアイス / オホーツク海 / 係留観測 / 薄片解析 / 極域海洋 |
研究開始時の研究の概要 |
北極海や南大洋、オホーツク海などの凍る海では春から夏にかけて海氷(流氷)が融けると植物プランクトンが大増殖することが知られている。この過程には凍る海の生態系を根底から支える重要な役割がある。プランクトンの大増殖の要因として、海氷内に取り込まれていた栄養分が海氷融解によって海中へと供給される可能性が指摘されている。これらの栄養分の海氷による取り込みが如何にして行われるのかは未だ明らかとされていない。本研究では海氷を採取して分析、および海氷域で実施された通年の係留観測データの解析を通じて、これを明らかにする。
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研究成果の概要 |
海氷内の物質の起源やその取り込み過程について、室内実験によると、新成氷である氷晶と堆積物の接触が重要視されている。そこで、実際の海洋で氷晶がどの程度の深度まで存在しうるかを、過去にオホーツク海で実施された係留観測のデータより解析した。その結果、風速8 m/s 以上の環境において、平均的には 35 m 以浅、最大で100 m程度まで氷晶が存在することが明らかとなった。極域海洋において氷晶が盛んに生産される沿岸域の高海氷生産海域であるポリニヤにて、氷晶と堆積物の接触を通じた海氷への物質の取り込みが生じる可能性が示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
春に海氷が融けると海氷内の物質は海へと供給される。この過程は海氷域で春季に一般的に生じる植物プランクトンの大増殖を引き起こす要因と考えられている。しかし、海氷内の物質の起源やその海氷による取り込み過程は未解明である。本研究では、この過程で重要視されている氷晶に関して、海洋中での生成が起こる状況やその存在深度を現場観測から初めて明らかにした。これらの結果から、海氷による物質の取り込みが浅い沿岸域での氷晶と再懸濁物の接触を通じて生じることが示唆される。また、極域海洋の生物生産が、海氷から海洋へと供給される海底堆積物由来の物質に強く依存する可能性が示唆される。
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