研究課題/領域番号 |
20K23372
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
社会科学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北田 亮 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (50526027)
|
研究分担者 |
小坂 浩隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70401966)
岡本 悠子 順天堂大学, スポーツ健康医科学推進機構, 特任准教授 (10635139)
金山 範明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90719543)
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
|
研究期間 (年度) |
2021-03-12 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
|
キーワード | 触覚 / 身体 / 手 / 脳刺激 / TMS / fMRI / 柔らかさ / 温度 / 音象徴 / 心理物理学 / オノマトペ / 質感 / 情動 / 自閉症 |
研究開始時の研究の概要 |
他者との触れ合いは相手との絆を深め、社会ネットワークの形成に寄与する。しかし他者からの接触が嫌いな場合、触れ合いは社会的な交流に対する動機が下げ、ネットワークの形成に影響を及ぼす可能性がある。自閉スペクトラム症者(ASD)は社会的認知が定型発達者と異なるだけでなく、他者との接触を嫌うことがある。そこで本研究計画は、ASDが触れ合いを嫌う原因を認知脳科学的に調べ、その影響を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は自閉スペクトラム者(ASD)の触覚と社会性の非定型性の関係について調べ、一部のASDが触れ合いを嫌う原因を明らかにすることである。当初の実験計画書に従い、自閉スペクトラム者(ASD)を対象に2つの実験を完了させた。上記の実験と並行して、ASDの触覚の非定型性を明らかにする実験パラダイムの開発を目的とし、定型発達者(TD)を対象に触覚実験を実施した。ヒトが他者に触れられていると感じるには、人肌の質感だけでなく、その形状とのインタラクションが重要である。機能的磁気共鳴画像法(fMRI)とTMSのシータバースト刺激法(cTBS)を用いて、次の2点を明らかにした(Atilgan et al., 2023)。 (a)大脳皮質の外線条身体部位(Extrastriate Body Area, EBA)は身体の形状認知に重要とされているが、一方で物体の認識に関わる部位(Lateral Occipital Complex, LOC)と一部重複している。3種類の物体(手・急須(道具)・車模型(統制物体))の識別成績をcTBSを与える前後で比べると、cTBSをEBAに与えた条件では他の部位(vertex)に与えた条件よりも、触覚でも視覚でも物体の識別成績が変化することを示した。これは視覚野の一部が視触覚の物体認知に関わるという先行研究を支持する。 (b)他方で、EBAへのcTBSは統制物体に比べて手や急須の識別成績を下げたが、この効果は視覚条件に限られていた。この結果は、視覚と触覚による身体部位の識別には異なるメカニズムが働いている可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により実験の進捗が一部で遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長し、これまでに完了した実験の成果を論文として発表し、心理学実験および機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験を完了させることを目指す。
|