研究課題/領域番号 |
20KK0006
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 京都産業大学 (2021-2022) 大手前大学 (2020) |
研究代表者 |
盛田 帝子 (飯倉帝子) 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40531702)
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研究分担者 |
永崎 研宣 一般財団法人人文情報学研究所, 人文情報学研究部門, 主席研究員 (30343429)
松本 大 関西大学, 文学部, 准教授 (30757018)
飯倉 洋一 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (40176037)
加藤 弓枝 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (10413783)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 古典復興 / 光格天皇 / 宮廷和歌 / 絵巻 / 国際共同研究 / デジタル・ヒューマニティ-ズ / 源氏物語 / 文学遺産 / 古典遺産 / 物合 / 翻訳 / デジタルヒューマニティーズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18~19世紀の日本における古典復興に関する国際的共同研究を加速推進し、米国をはじめとする海外の日本文化教育に貢献しようとするものである。古典復興は世界のいずれの地域・王朝(国家)においてもそれぞれに経験を持っており、かつ文学・芸術・建築・儀式等にまたがる。関心を持つ国内外の研究者が連携し、カリフォルニア大学バークレー校の江戸時代宮廷関係資料、ホノルル美術館の絵画・絵入本を主要資料として18~19世紀の日本の古典復興の実態を捉えて歴史的に評価し、シンポジウム等で議論を重ねて現代における古典復興の意義、ひいては過去の書物・資料との対話をベースとする人文学の現代的意義を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、歴史的典籍・史料に基づいた国際的な規模での共同研究を行い、古典文化の学び・復元・憧憬という形で現れる18~19世紀の日本の古典復興の実態を捉えて歴史的に評価し、シンポジウム等で議論を重ねて、現代における古典復興の意義、ひいては過去の書物・資料との対話をベースとする人文学の現代的意義を考察することを目標としている。 この問いは、古典をどのように再生するかという現代的課題に示唆をもたらし、現代における古典の利用や再創造といった古典の活用にも道を拓くだろう。 本年度は、オンラインで、米国のUCB、ハワイ大学マノア校、ホノルル美術館、イタリアのベネチア・カフォスカリ大学と共同研究を行った。UCBとは同校のジョナサン・ズウィッカー准教授と代表者盛田ほか数名の共同研究者で江戸時代の古典復興とそれに関連するテーマでのオンライン授業について企画・実践を行った。ハワイ大学マノア校およびホノルル美術館とは同校ロバート・ヒューイ名誉教授をはじめとする教員・院生およびホノルル美術館スタッフと、同美術館所蔵の「十番虫合絵巻」を解読するオンライン研究会を開催し、注釈・現代語訳・英訳を作成し、その成果出版とWEB公開に向けて準備を進めた。カフォスカリ大学のジェルリーニ研究員とは古典再生につき意見交換を重ねた。 2023年2月11日・12日には、京都産業大学で、国際シンポジウム「古典の再生」を、ハイブリッド方式で行った。14か国472名が参加登録する盛況で、京都新聞にも出色の研究集会と紹介された。本シンポジウムには国際的に活躍する5カ国(米国・イタリア・カナダ・ドイツ・カザフスタン)の日本文学研究者を招き、23名が登壇し、様々な視点から問題を掘り下げ、討議した。対面で行われたことにより、国際学術交流が一気に推し進められて有意義であった。本シンポジウムは論文集として書籍化される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はコロナ禍の影響が続き、ホノルル美術館で予定していた『十番虫合絵巻』を用いた国際共同ワークショップが延期となった。同書を解読する国際共同研究会は順調に進み、一通りテキストを読み終え、解説と翻刻・注釈およびその英訳を備えた成果物を書籍として刊行する準備をしている。『十番虫合絵巻』の画像・本文・注釈・現代語訳・英訳はTEIガイドラインに準拠した形でWEB でも公開をする予定で、準備を進めている。 2023年度に開催予定であった国際シンポジウム「古典の再生」は、予定よりはやく2022年度に開催できた。極めて充実した各発表は、それぞれさらなる考察を加えた上で、論文集としてまとめ、刊行する計画である。 全体としては、研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる今年度は、これまでの国際共同研究会の成果をふまえて、ホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』を用いた国際共同ワークショップをハワイ大学マノイ校で行う。また『十番虫合絵巻』の翻刻・注釈・現代語訳・英訳・解説を、日本語版・英語版の合冊版として刊行し、WEBでも公開する予定である。この共同研究成果によって、18-19世紀日本における古典復興の志向の一側面を明らかにしたい。 また、ホノルル美術館のレインコレクションを調査し、『十番虫合絵巻』の原本を再調査するとともに、18-19世紀における雅文芸の古典復興意識の裾野として、古典絵本群のなどの実相を明らかにする。 なお、18-19世紀の古典復興を「古典再生」のモデルのひとつとして捉え、現代における古典復興の可能性を探究するシンポジウムを2023年2月に2日間にわたって開催したが、その登壇者に発表内容をブラッシュアップする内容の論文を書いていただき、論文集として刊行する予定である。 古典復興というテーマは普遍性を持っており、関心を持つ研究者は多い。最終年度にはこのテーマについて、国際的・学際的な意見交換を、様々な機会をとらえて行い、次の研究プロジェクトにつなげてゆきたい。
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