研究課題/領域番号 |
20KK0007
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中山 俊秀 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)
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研究分担者 |
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
冨岡 裕 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (90816505)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 危機言語 / 言語ドキュメンテーション / タイ少数民族 / 黒タイ族 / 消滅危機言語 / 言語再活性化 / 黒タイ / タイ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、タイの黒タイ族の消滅の危機に瀕する伝統言語・文化について、コミュニティ自身の視点と価値観を組み込んだ真正な記録を作り、学術研究と言語・文化の保持・再活性化の双方の基盤として活用できる包括的ナレッジベースを構築することを目的とする。本研究の活動は研究活動の全面に渡ってコミュニティにおける密接な協働によって進める。これは、もっぱら外部研究者が先導・管理してきた従来のアプローチに内在する弱点・問題点への反省に基づいた新たな再活性化モデルに基づく試みであり、学術的な記録の質と価値の向上のみならず、再活性化活動の自発性と持続可能性を向上させる上での効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、タイの黒タイ族の消滅の危機に瀕する伝統言語・文化について、コミュニティとの協働を通して、学術研究と言語・文化再活性化という社会活動の双方を支える包括的ナレッジベースを構築することをめざす。2021年度には、コミュニティとの協働により、伝統的文化・言語について、ドキュメンテーション研究理論の手法に沿って一次データを収集・処理・分析し、ナレッジベースとしてまとめる作業を進める予定であった。しかしながら、2020年度に引き続き新型コロナウイルスの蔓延により、タイへの渡航禁止及び自粛が要請される状況にあったため、本研究を推進する上で不可欠なコミュニティベースの活動(現地調査及びコミュニティメンバーとの共同研究)については、研究開始時点から年度の終わりに至るまで、行うことができなかった。共同研究先海外研究者との研究打ち合わせや討論はオンラインで進め、現地コミュニティーでの調査活動(言語構造・文法、言語使用の実態、伝統的儀式・儀礼・伝統技術・伝統的世界観・価値観・倫理、コミュニティーの歴史に関する聞き取り調査)も海外研究者の協力により可能な限り進めた。研究に必要な物品などの調達・整備は研究の進捗に合わせて速やかに行った。こうした次善策により、限定的ながら研究を進めることができたものの、全体計画の進捗は遅れていることは否めない。また、2020年度中の研究の影響もあり、コミュニティー内での共同研究チームのトレーニングも不十分であり、コミュニティーとの共同による調査を効果的に進める上で支障が残る。今後も状況が好転する目算が立てにくい状況にあるため、研究の推進計画も明確に立てにくいというのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの急速で世界規模での蔓延が進む中で、2020年の研究開始時点から2021年度の終わりに至るまで、研究を行うタイへの渡航禁止及び自粛が要請される状況にあったため、本研究の進捗は著しく妨げられた。研究打ち合わせや一部調査をオンラインで行なったり、タイ側の共同研究者の協力により現地での調査やコミュニティーメンバーに向けたトレーニングなどを行なったりしたが、現地で一堂に会してのワークショップや共同調査を通して形成できるはずの連携やラポールが作れないことによる研究推進への障害は大きい。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの蔓延状況が改善し現地における調査及びコミュニティメンバーとの共同研究が可能になり次第、2020年度から2021年度に計画していた現地ベース研究活動を進め、2022年度に計画されている活動にできるだけ速やかに着手できるように努める予定である。しかしながら、今後も状況が早急に好転する目算が立てにくい状況にあるため、この変更計画でさえも今後の展開に予断を許さない。こうした困難な現状に鑑み、他の手段を用いての研究の推進も模索して行く計画である。オンラインでの打ち合わせ、情報収集、タイ側の共同研究者による調査・研究は引き続きできる限り活用していく。これらは共同研究チーム全体での現地調査に代えることはことはできないが、研究を少しでも進めて行くためには有効である。
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