研究課題/領域番号 |
20KK0009
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
今津 節生 奈良大学, その他部局等, 学長 (50250379)
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研究分担者 |
高妻 洋成 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 参与 (80234699)
石崎 武志 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 研究員 (80212877)
片岡 太郎 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (80610188)
宇都宮 正紀 奈良大学, その他部局等, アソシエイトフェロー (20854730)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 東アジアの文化財 / 3Dデータの活用 / 文化遺産の保護 / X線CTスキャナ / 文化財学 / 保存科学 / 文化遺産の保護・保全努力の強化 / 保存・活用 / 三次元デジタルデータベース / 東アジア / 文化遺産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東アジア各国の研究機関がX線CTを使って取得した文化財の3Dデータを共通の3D解析ソフト使ってWEB上で議論し、その解析結果を共有した上で、最終的に共同で実物調査を実施する。X線CTを使った文化財の調査研究は、東アジア地域の文化財研究者は世界に向けて新しい研究成果を発信できる絶好の機会を得ている状況にある。 また、東アジアから世界に向けて、文化財の新しい調査研究方法や保存修復技術を発信することを目的としている。今後、この研究方法はデジタル社会における文化財の新しい研究方法として、文化財の活用を促進する上でも必要不可欠な基礎技術となって世界に普及することが期待できる。
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研究実績の概要 |
東アジアは急速な経済発展に伴い世界で最も変貌している地域の一つである。特に日本・韓国・中国の三国は、過去70年間の経済発展によって欧米と肩を並べる近代化を達成した。しかしその反面、文化面では伝統文化が失われ、急激な開発や環境変化によって文化遺産が危機にさらされている。文化財の保存修復技術は欧米を中心に発展してきたが、ヨーロッパと東アジアは、歴史・文化的背景・気象・文化財の材質やその製作技法など異なる点が多い。そこで、東アジア独自の環境・文化の基盤の上に、文化財を守り・伝え・活用するためにも、各国の文化財保存修復に携わる研究者が共同して問題解決にあたることが必要である。 本研究は、東アジアから世界に向けて文化財の新しい調査研究方法や保存修復技術を発信することを目的としている。本研究は東アジア文化遺産保存学会を基軸に、日本文化財科学会など各国の関連学会にも協力を求めながら、東アジア地域における文化財の科学的研究や保存修復技術の向上に資すると共に、文化的・歴史的背景を共有する東アジア地域の文化的交流に貢献するものである。 2023年度は東アジアの研究者が共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指して、8月10日~13日に札幌市の北海道大学学術交流会館を会場に『2023東アジア文化遺産保存国際シンポジウムin札幌』を開催した。8月10日は、ワーキンググループ会議及び、各国代表者会議を開催した。8月11日・12日は、口頭発表(51件)およびポスター発表(134件)を行った。また、8月13日は公開講演会および外国人向けのエクスカーションを実施した。本国際シンポジウムには、日本・中国・韓国の三国に加えてモンゴルからも研究者が参加した。本国際シンポジウムによって、東アジアの文化財保存修復に携わる研究者や技術者が、新たな文化財保存修復技術を東アジアから世界に発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度から実施している東アジア三国の研究者とのオンラインのWEB会議を通して、日本・中国・韓国の3国の研究者が国際共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指すことを確認することができた。この研究基盤をもとに、海外の研究者を招聘して国際シンポジウムを開催することになった。この国際会議では、本研究の研究代表者や研究分担者が所属する日本文化財科学会と東アジア文化遺産保存学会が基軸となり、各国の関連学会と協力しながら国際共同研究を進めた。 2023年8月に開催した『2023東アジア文化遺産保存国際シンポジウムin札幌』では、中国文物保護技術協会、韓国文化財保存科学会と本研究の研究代表者や研究分担者が所属する日本文化財科学会や東アジア文化遺産保存学会が基軸となり、各国の関連学会と協力しながら共同研究を進めた。特に、国際シンポジウム開催中に、文化財の3Dデータや3Dプリンタを活用したデジタル複製品を用いた研究の可能性について、各国から研究者が集まって協議するためのワーキンググループを開催した。このワーキンググループでは、3Dプリンタを用いた仏像の修理痕跡を解析する技術、骨のX線CTデータと3Dプリンタを活用した骨格復元などについて研究成果を共有することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年開催した『2023東アジア文化遺産保存国際シンポジウムin札幌』の成功を基盤に、次回の国際シンポジウムの開催に向けて準備を進めている。次回以降も中国文物保護技術協会、韓国文化財保存科学会、韓国中央博物館、日本文化財科学会など各国の文化財保存における中心的組織と協力しながら国際シンポジウムの開催準備を進める予定である。具体的には、2024年度は各国の共同研究者と今後の計画について研究協議を重ねており、2025年度に中国で次回の国際シンポジウムを開催することを各国代表と合意している。2024年度は中国で開催する次の国際会議の開催に向けて研究協力を進める予定である。
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