研究課題/領域番号 |
20KK0012
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
ボルジギン 呼斯勒 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40600193)
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研究分担者 |
松川 節 大谷大学, 社会学部, 教授 (60321064)
高井 龍 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80711308)
二木 博史 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90219072)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | チンギス・ハーンの長城 / モンゴル / 契丹 / 北東アジア / 国際共同研究 / アーカイブ / 基盤の創成 / 歴史学 / 中国 / ロシア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多国、多分野にわたる豊かな経験を有する専門家の協力のもとで、歴史資料の収集と分析、および現地での遺構の発掘調査の成果を基礎に、中央ユーラシアに興亡した遼、西夏、金の諸帝国が築いた、多様な要素によって構成された「チンギス・ハーンの長城」における歴史的・社会的・文化的空間を、歴史学、文献学、考古学と博物館学によって解明し、再構築しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、多国、多分野にわたる豊かな経験を有する専門家の協力のもとで、歴史資料の収集と分析、および現地での遺構の発掘調査の成果を基礎に、遼、西夏、金の諸帝国が築いた、多様な要素によって構成された「チンギス・ハーンの長城」における歴史的・社会的・文化的空間を、歴史学、文献学、考古学と博物館学によって解明し、再構築しようとするものである。 2023年度は、研究代表者と研究分担者、現地の共同研究者が、研究目的に沿って、発掘調査と資料のデータ化を中心とする本研究テーマに関わる研究基盤の強化につとめると同時に、成果の報告をおこなった。その概要は以下の通りである。 第一に、研究代表者と共同研究者は、2023年8月にモンゴル国ドルノド県の一部の遺跡を踏査し、発掘、計測、年代測定、図化などをおこなった。また、研究代表者は同年9月に、現地研究者の協力を得て、内モンゴル自治区フルンボイル市、シリーンゴル盟、オラーンチャブ市、包頭市の一部の遺跡を踏査した。第二に、上記の調査で得た資料(映像、写真、計測のデータ、採集した遺物)のデータ化をおこなった。第三に、研究代表者と研究分担者は、引き続きチンギス・ハーンの長城に関する文献を収集、検討し、論文を執筆した。第四に、中間成果の報告として、研究代表者と研究分担者、共同研究者が国際シンポジウム「匈奴とモンゴル帝国の都市と建築文化」(2023年12月)にて、成果を発表した。 現地調査でえた、チンギス・ハーンの長城嶺北ラインのオハーオボーティーン・ベフレルト遺跡(チンギス・ハーンの長城防塁No.11)の試掘坑Bの1次面の馬の歯の炭素14較正年代は、13世紀~14世紀中頃を示す。これに対し、ハルチョロート・ベフレルト遺跡(チンギス・ハーンの長城防塁No.12)の試掘坑C の2次面の家畜骨の炭素14較正年代は概ね17世紀中頃~20世紀初期頃を示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、研究代表者と海外の共同研究者はモンゴル国ドルノド県バヤンオール郡の「チンギス・ハーンの長城」堡塁No.11とNo.12遺跡を踏査し、図化のほかに、年代測定用試料を採取し、炭素14による年代測定をおこった。研究代表者は、また中国内モンゴル自治区フルンボイル市、シリーンゴル盟、オラーンチャブ市、包頭市で、チンギス・ハーンの長城上庫力防塁と尖山子防塁、ジャラントン市区間、スニド右旗ジュルフ・ソム区間、チャハル右翼後旗サイン・ホダグ(賽忽洞)区間、固陽県大廟区間において予備調査を実施した。 ドルノド県での現地調査では、バックル、鋳鉄製鍋の破片、鉄製釘の断片、鋳鉄製飾り玉、鉄製鐙の断片、鎧の薄片など興味深い遺物が出土したほか、チンギス・ハーンの長城の土塁上に積石墓、ハルチョロート・バグの地では岩壁画を発見した。さらに内モンゴル自治区オラーンチャブ市チャハル右翼後旗での調査では、矢尻や咸平元宝(998~1003年)、元豊通宝(1078~1085年)、元祐通宝(1086~1094年)といった貨幣などを表面採集した。 研究代表者と研究分担者は、日本、モンゴルの研究者と意見を交換し、現段階で期待しうる成果を得ることができ、「チンギス・ハーンの長城」研究の今後の課題をさらに明確した。 さらに、研究代表者と研究分担者、海外の共同研究者、研究協力者が論文3本を執筆し、国際シンポジウム「匈奴とモンゴル帝国の都市と建築文化」で報告した。その成果は『モンゴルと東北アジア研究』Vol.9と『満族研究』2023年第2号に収録された。さらに、同成果は『日本モンゴル学会紀要』第54号(2024年)に紹介された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度、すなわち2024年度には、研究代表者と研究分担者が、現地の共同研究者の協力を得て、研究目的と研究計画にかかげた三つの基本コンセプトにもとづき、モンゴルと中国で現地調査を実施するほか、研究成果のとりまとめを公表し、議論の国際化をめざす。 具体的には、以下の方策をとおして推進していく予定である。 (1)昭和女子大学、日本モンゴル学会等の協力を得て、東京で国際シンポジウムを開催し、成果を公表する。さらに、(2)2024年度までに収集した資料、実施した調査で得た成果を分析し、データ化する。「チンギス・ハーンの長城アーカイブ」の構築を本格化する。(3)調査報告、論文を執筆し、論集の出版などをおこない、課題を達成する。
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