研究課題/領域番号 |
20KK0019
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (80093334)
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研究分担者 |
伊藤 美千穂 国立医薬品食品衛生研究所, 生薬部, 部長 (30283592)
藤原 裕未 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (90756511)
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80314269)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 沈香 / 沈香分布 / 成分 / 遺伝資源保全 / ウォーレシア・パプア域 / 生態資源 / 沈香生態 / ウオーレシア・パプア域 / 沈香流通と消費 |
研究開始時の研究の概要 |
沈香は、主として沈丁花科の中・大木に滲出する貴重な香の材料として早くから採取が行われ、市場価値は高まり、その保存が危ぶまれている。本研究ではウォーレシア・パプア域を中心とするインドネシアにおける沈香に関する未調査域の現地調査を行い、対象地域における種の分布や成分を明らかにするとともに、遺伝資源の現地外保全を行い、今後の沈香資源に資する基盤をマタラム大学の中に整備し協働研究を実行する体制を整える。現地の情報と沈香木そのものの保全を行い、永続的に遺伝資源を管理する体制づくりの地盤を整え、これまでの沈香研究をさらに発展させる。
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研究実績の概要 |
コロナ禍の渡航制限により、計画していた現地調査が行えなかったため、山田勇はこれまで長年にわたり収集したウオーレシア・パプア域、そのなかでも特にインドネシアの沈香、その生態や流通や消費の変遷に焦点を当て、通時的に写真資料やフィールドノート等の整理をすすめ、『インドネシア 沈香調査記』を出版した。柳澤雅之も同様に現地調査を実施することはできなかったため、これまでに実施してきたインドネシア・中カリマンタン州での現地調査記録の分析を行った。その結果、熱帯雨林が産出する森林資源利用は、全体的に近年減少傾向にあること、そしてその理由は、資源の不足と共に、商品価値を有する資源とそうでない資源の差異化が進行していることがわかった。沈香は後者に関連し、森林で産出する天然資源が極めて少ない中、栽培技術を新たに創出する在野の研究者・事業者による栽培トライアルが始まっている。こうした動きは、今後の沈香の資源分布や利用等に重要な意義を有すると考えられる。 伊藤美千穂と藤原裕未はこれまでに研究代表者が採取したインドネシアの沈香サンプルのDNA分析を行った。2021年度は沈香の基原植物の鑑別に有効と報告のあるtrnL-trnF領域及びmatK領域を解析したが、サンプルの種は確定できなかった。2022年度は新たに基原の鑑別に利用できる可能性のあるpsbA-trnH領域について解析を行うとともに、trnL-trnF領域及びmatK領域について、未解析であった部分領域を精査した。その結果、いくつかのサンプルは種が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による渡航制限が解除されなかったため、進捗は遅れているが、山田勇と柳澤雅之はこれまでの現地調査記録に基づく整理や分析を行い、一定の成果を得ている。伊藤美千穂と藤原裕未による、これまで山田が採取したインドネシアの沈香サンプルのDNA分析については、Genbankの配列情報は、Aquilaria属、Gyrinops属の両方ともデータが不足している。基原種が科学的に同定された配列情報を蓄積することは、基原植物の鑑別には必要かつ重要である。いくつかのサンプルについて種が明らかになったという一定の成果を得たところであるが、今後渡航制限が解除されれば、さらに多くのサンプルの解析をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
代表者の所属機関と学術交流協定(MOU)を継続中の共同研究機関(マタラム大学)との研究協力を基盤としながら、コロナ禍に対処するため、山田勇と柳澤雅之は文献調査と現地調査の双方のアプローチをとる。山田はこれまでの現地調査についての通時的整理をさらにすすめる。柳澤は文献調査について、栽培化の進展に関する研究知見の蓄積を行う。現地調査が可能になれば、インドネシア東部の現地調査を共同研究機関ととともに行い、沈香の分布・成分・遺伝資源保全について検討する。 伊藤と藤原は、検討した3領域を用いて基原種を鑑別する手法を確立する。また、これまでに研究代表者が採集したインドシナ半島部の沈香サンプルについても同様に検討を進めていく。さらに、現地調査が可能となれば、植物全体の情報から基原が明らかな試料を採取して、遺伝子配列情報の蓄積を進める。
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