研究課題/領域番号 |
20KK0022
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川大学 (2023) 横浜国立大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
関 ふ佐子 神奈川大学, 法学部, 教授 (30344526)
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研究分担者 |
西森 利樹 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30795860)
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
川久保 寛 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (90706764)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | パンデミック / 高齢者法 / 保護と年齢差別 / 社会保障法 / 労働法 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウィルス感染症は、高齢者といったもっともか弱いバルネラブル(脆弱)な人たちを苦境に立たせている。とりわけ海外においては、高齢者関連施設が多くの死者を出しているのみならず、人工呼吸器を装着する順番が年齢により決められた。これまでも存在した高齢者の保護の必要性と年齢差別をめぐる課題が明確化した。本研究では、こうした保護と差別をめぐる課題を検討し、高齢者をめぐる法理論を考察していく。 本研究では、研究代表者がもつ世界の研究者とのネットワークを生かし、若手・中堅研究者・実務家(弁護士や社会福祉士)・大学院生に海外の研究者と交流し共同研究する場を創り、社会に貢献する研究成果を積み上げていく。
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研究実績の概要 |
本国際共同研究が取り組む学術的な問いは、①高齢者の保護と年齢差別の関係をどうとらえるか、②新型コロナウイルス感染症といったパンデミック下で明らかになった、高齢者の保護と年齢差別をめぐる具体的な課題にどう取り組むかである。 2023年度も、第1に、各人が文献調査により上記の論点や課題を検討した。さらに、研究者と実務家が参加する高齢者法研究会において、研究成果を報告しあい現場の課題などへの解決方法を探り、また、招聘した多分野の研究者等と討議した。HP高齢者法Japanによる情報発信も随時行った<https://elderlawjapan.jp/report/>。 第2に、2024年度に研究者と実務家とで行う調査の下調べとして、2023年8月に、研究代表者の関がカリフォルニア州でCCRC(継続ケア型退職者コミュニティ)のPilgrim Placeと高齢者施設における高齢者の権利を擁護するNPOであるCANHR、弁護士2人とともに、ルイジアナ州で高齢者法の研究者や高齢者を擁護する弁護士事務所などを訪問した。Pilgrim Placeでは、いかにコミュニティが新型コロナウイルス対策とつながりの継続の双方を実現したのかを調査した。CANHRでは、新型コロナウイルスの発生とともにアメリカでもおきた施設における面会謝絶の問題について、一年後には面会権を求める運動を展開し、州のガイドラインの変更がなされたといった話を伺えた。ルイジアナ州では、高齢者の信託を中心とした聞き取り調査を実施した。 第3に、2024年3月にルンド大学法学部のTitti Mattsson教授をオンラインの研究会に招聘し、スウェーデンにおける高齢者法の現状やご専門のバルネラビリティについてご報告いただいた。スウェーデンにおける行き過ぎた自己決定の課題といった最新の問題についてお話を伺い、同時通訳入りで協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究グループの若手・中堅研究者や実務家を関がアメリカの研究者や実務家に紹介する実態調査の計画をもともとたてていたが、新型コロナウイルスによりその実施が遅れた。海外渡航が数年できないなか調査先の状況も変化したことから、海外渡航が可能となった2023年度は、研究グループによる本調査に向けた予備調査を研究代表者の関が行った。これにより、しっかりとした本調査を行うための準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度もオンラインにより海外の研究者と行った意見交換が大変有意義であった。新型コロナウイルスの影響で海外の研究者も含めてオンライン(zoom利用)での研究会が身近となり、同時通訳者を介してのスムーズな討議の実現といったオンライン研究会の手法の蓄積は、本研究のような国際共同研究にとって貴重な財産となった。2024年度も、これまで蓄積したノウハウを生かし、海外の研究者との意見交換を進めたい。 2024年度は、2023年度の予備調査を踏まえ、若手・中堅研究者や実務家に海外の研究者や実務家と現地で交流する機会を創る予定であり、これが本年度の研究の中心となる。この他、主に文献調査という形で、2023年度と同様の形で日本と高齢社会先進国との比較法研究を進める。 また、2025年2月か3月には、高齢者法研究会におけるオンラインでの国際シンポジウムに、世界各国で高齢者法の重要な研究を進める数名の研究者を招聘予定である。他方で、円安もあり2024年度の本調査を行うためには、海外の研究者を数名日本に招聘する予算の余裕はなくなった。海外の研究者とは、パンデミックが鮮明にした各国の経験等をオンラインで討議するとともに、高齢者の保護と年齢差別の禁止をめぐる論点を検討する際に重要な原理的論点について、高齢者法の視角から討議していく。 2024年度も、これまでの研究を継続し、神奈川県高齢者福祉施設協議会と提携し、YNU成熟社会コンソーシアムと共同で、神奈川県域の老人ホームにおけるコロナの影響について分析する予定である。 この他、2023年度に引き続き多分野の研究者や実務家を研究会に招聘するほか、文献調査により本研究テーマに関する論点や課題を探っていく。2024年度も各人が研究成果を高齢者法研究会等で報告し討議を重ね公表していくほか、HPによる情報発信も随時行っていく。
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