研究課題/領域番号 |
20KK0054
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 (2020, 2022) 福岡大学 (2021) |
研究代表者 |
錢 昆 九州大学, アジア・オセアニア研究教育機構, 准教授 (60736354)
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研究分担者 |
氏家 悠太 立教大学, 現代心理学部, 助教 (60781789)
高橋 康介 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (80606682)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 認知心理学 / 文化心理学 / 文化比較 / フィンランド / フィールド実験 / 錯視 / 顔認知 / 多感覚 / フィールドワーク / 文化間比較 |
研究開始時の研究の概要 |
認知心理学分野における文化比較研究は盛んに行われてきたが,その多くは「東洋」対「西洋」のモデルに基づいた研究であり,調査地の選択は場当たり的な傾向が強く,大学生対象の実験室実験が大半を占めてきた。これらの問題点に対して,オンライン調査,マルチラボ研究,フィールドワーク型実験等の新しい方法論が近年展開されてきたが,多くの問題点が指摘されている。本研究は認知心理学における文化間比較研究の諸問題に系統的に取り組み,日フィンでの実験室実験・フィールド実験を通じて,両国の地域内文化差と地域間文化差を検討し,「東洋」対「西洋」モデルを実験的に検証し,認知心理学における「文化差」の再定義を目指している。
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研究実績の概要 |
今年度も前年度の研究テーマを継続し,研究代表者と分担者が各自のプロジェクトをリードして進めている。新型コロナウイルス感染症流行とウクライナ情勢による空路不順の影響で,当初予定していたフィンランドへの長期渡航はまだ実現されておらず,フィンランドでのフィールド実験は停滞しているが,フィンランド側の研究協力者が積極的に実験室実験を行い,表情認知とマガーク効果のプロジェクトに関しては現地データの取得が順調に進んでいる。また,今年度もオンラインミーティングやSlackでの細かい進捗報告と意見交換を行い,研究を順調に推進している。日本チームでの研究集会は2022年12月に立命館大学で開催した。 研究代表者は日本でのフィールド実験を実施し,2023年1月に沖縄県やんばる国立公園で調査を行った。また,フィンランドの調査地に行けない代わりに,海外でのフィールド実験検証のため2023年2月から3月の間にタイと中国で長期間調査を行った。また,本研究の関連業績として査読付き論文1編(単著),査読なし論文1編(共著),著書1件(共著),学会発表4件(共同)を行った。研究分担者のチームは,文化・地域内外ので知覚の多様性を検討するため,基本的な錯視の個人差を短時間でアセスメントするテストバッテリーを開発し,100人単位のオンライン調査を2回実施した。その結果,テストバッテリーの有効性,妥当性が示され,今後の地域内外での知覚の多様性研究への有用性を実証した。また,本研究の関連業績として査読付き論文3編(共著),学会発表9件(共同),学会受賞1件,招待講演1件との業績をあげた。 新型コロナウイルス感染症が収束に向かい,フィンランドへの渡航もしやすくなったため,次年度は状況に鑑みて,フィンランドへの渡航と現地での実験ができるように進めたいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように,2022年度も計画していたフィンランドへの渡航は実現できなかったが,これまで3年間の遠隔対応の経験を踏まえ,日本国内でのフィールド調査や,日本・フィンランド両国での実験室実験が順調に行っている。日本の研究代表者・分担者とフィンランド側の研究協力者の連携もより緊密になり,査読付き論文4件,著書1件,学会発表13件,受賞1件との豊富な業績を収めることができた。,当初の計画以上に進展することができたが,本研究のコアとなるフィンランドへの渡航研究はいまだに実現できていないため,総じて現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はフィンランドへの渡航と共同研究の実施を計画している。研究代表者が9月に1ヶ月程度フィンランドに渡航し,現地でのフィールド調査地の確認と実験準備も開始する予定である。また,これまでの研究業績を踏まえ,2023年度も査読論文の掲載や,日本基礎心理学会や欧州視覚学会(ECVP)での学会発表を行う。年度後半はコロナ禍やウクライナ情勢による空路状況などの渡航条件に鑑み,当初計画していたより頻繁・長期的なフィンランド滞在とフィールド研究を計画する。
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