研究課題/領域番号 |
20KK0081
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
中村 佳博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (60803905)
大藤 弘明 東北大学, 理学研究科, 教授 (80403864)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ナノカーボン / 原子構造 / 炭素同位体比 / ストロマトライト / ラマン分光分析 / アトムプローブ |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系システムを構成する元素の中でも,炭素(C)は4番目に存在度が高く,生物を構成する最も重要な元素の一つである.特に,地球表層での炭素循環は,地球史上の生命現象や環境変動に強く関与しており,「生存可能な惑星」の礎である.しかしながら,地球表層の有機物の起源に関しては多くの論争が存在している.そこで本研究では,オーストラリアカーティン大学と共同で初期地球の岩石記録に保存されたナノカーボン(グリーンランド・オーストラリア・インドに産する古い堆積岩)の詳細解析を実施し,生命の誕生に関するプロセスを検討する.
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研究実績の概要 |
今年度もコロナウイルス感染拡大の影響があり、予定していた野外調査が実現できなかった。 そのためすでに我々が所有しているオーストラリアの岩石試料を用いて、薄片作成、顕微鏡観察、主要微量元素の全岩化学分析、炭酸塩岩の炭素・酸素 ・硫黄同位体分析を行った。その中から有望な試料を選定し、EPMAにより詳細な化学組成マッピングとEBSDを用いた結晶構造解析を行った。さらに高分解能電子顕微鏡(FE-SEM, FE-TEM,デュアルビームFIB)を用いた試料作成とSTEM-EDS分析を基にアトムプローブ分析試料の選定を行った。 EPMAによる詳細な元素マッピングの結果、炭質物質が含まれるチタン石と含まれないチタン石との間に、化学組成の明瞭な差異が認められた。同領域で行ったEBSDの結晶方位マッピングの結果でもチタン石から構成される複数のナノチューブの結晶方位は同方位を示している。一方で数十ミクロンの比較的大きなチタン石結晶は複数の結晶方位を有する結晶の集合体であることが明らかになった。 炭質物質の組織観察では複数の形態が認められ、方解石や石英中に普遍に存在するものや集合体で存在するものが多く認められ、さらにチタン石のナノチューブの先端に濃集する炭質物質も多く確認できた。この観察を基にFIBを用いたTEM試料を作成し、STEM-EDS分析を実施した結果、チタン石のナノチューブの中にルチルの結晶が存在し、炭質物中には硫黄が含まれることも分かった。またTEM高分解能像観察から、チタン石中に結晶度が低い炭質物が存在していることが明らかになり、有機物起源の炭素であると推定される。 また研究代表者が12月にカーティン大学を訪問し、今後の研究進行及び次年度の始めに分析を行うための具体的な日程と試料作成に関する打ち合わせを行った。その際アトムプローブをはじめ様々な設備使用に関する契約を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、地球最古の化石を含む岩石の分布地域の地質調査を行い、採取した試料の詳細な地球化学的分析とアトムプローブ分析のための適切な試料を選定し,ファーストデータを得ることである。しかし世界的な新型コロナ感染拡大により、海外への移動を伴う野外調査が長らく制限されていたため、すでに所有しているサンプルを用いたデータの取得に留まっている。また本研究の最初の3年間に計画していた現地地質調査に関して延期することになったため、本研究計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は主にフィールド調査、サンプル選出と基礎データ収集、ナノカーボン粒子の超微細組織観察(国内)、アトムプローブ分析およびToF-SIMSによる炭素同位体測定(オーストラリア)を行う予定である。 インドの太古代のシンブン岩体(34億年前)を中心に野外調査と炭質物を含む堆積岩のサンプリングを行う。インド理科大学院大学のSajeev 教授、インド地質調査所のChoudhari博士の協力を得て、研究代表者と1名の博士後期課程院生が調査を実施する。さらに、太古代の有機物化石を含む岩石の産状と分布を調べるために、オーストラリア現地地質調査を研究代表者、2名の研究分担者と1名の博士後期課程院生が実施する。オーストラリアにおいてカーティン大学のFitzsimons教授の協力を得て約2週間キャンプしながら地質調査を行う。特に太古代の微化石の著名な産地であるピルバラクラトンStrelley Pool層中心に炭質物質を含む堆積岩の詳細な調査やサンプリングを行う。 野外調査(オーストラリア)で採集した試料から詳細な分析や観察を行う予定である。具体的には薄片観察やEPMAによる詳細な元素マッピングとEBSDを用いた結晶方位解析を行い、ラマン・赤外分光分析による炭質物質の結晶度を把握する。また、高分解能電子顕微鏡(FE-SEM, FE-TEM,デュアルビームFIB) を用い、ナノカーボン粒子の鉱物・結晶学的特徴および局所構造について観察・分析を行う。さらに、炭質物の形態別の同位体分析を行い、特徴を明らかにすることで、アトムプローブ分析に適したサンプルの選定を行う予定である。 2023年度すでに博士後期課程院生がカーティン大学を訪問し、アトムプローブ分析を実施している。今後アトムプローブ顕微鏡とToF-SIMSを組み合わせた炭素同位体比の3次元構造解析を行い、さらなる考察を行う予定である。
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