研究課題/領域番号 |
20KK0110
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木田 徹也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70363421)
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研究分担者 |
畠山 一翔 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 助教 (30773965)
末松 昂一 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90637555)
猪股 雄介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (40824024)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ガスセンサ / ナノロッド / ナノ結晶 / DRIFTS / オペランド測定 / ナノワイヤ / DRIFT / 単結晶 / ナノシート / 半導体 / 酸化物 / 酸化物半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
多種多様なガスを即座に認識するため、ガスセンサの更なる高性能化が要求されている。本研究では、一次元(1D)および二次元(2D)ナノマテリアルを用いて、空気中の稀薄有機成分に対し超高感度なガスセンサデバイスを開発する。酸化物ナノワイヤ/ナノシートの形状を精密に制御すると同時に貴金属を高分散担持することで、ppb (10億分の1)レベルの揮発性有機化合が検知できる超高感度化を目指す。
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研究実績の概要 |
ZnOナノ粒子の結晶面制御によってVOCの高感度検知を試みた。形状異方性を有するZnOナノロッドを合成し、そのガス応答特性および検知メカニズムを検討した。ZnOナノロッドはアセトンとエタノールに対して選択的に応答し、比較として用いた市販のZnO粒子に比べて約3倍のセンサ応答を示した。ZnOナノロッドの露出結晶面は(10-10)であり、この結晶面がエタノールに対して強く作用すると考えた。続いて、In-situ DRIFTS測定によってエタノール雰囲気下におけるナノロッドの表面状態を調査した。比較的低温(100-200 ℃)ではエトキシドの吸着が認められたが、温度の上昇に伴いアセテートに起因するピークが支配的となった。従って、300℃ではエタノールは表面に吸着した後速やかに脱水素反応によってエトキシドに変換され、続いてさらに水素が脱離しアセトアルデヒドが生じ、それが表面の酸素種と反応してアセテートが形成される。これら中間生成物のセンサ特性に与える影響をDFT計算を用いて詳しく調査した。DFT計算の結果、吸着酸素がZnO (10-10)に吸着すると、ZnOの伝導帯下に新しいエネルギー準位が導入されることがわかった。この準位は自由電子をトラップできる位置にあるため酸素吸着によって電気抵抗が上昇する原因を説明できる。これに代わってアセテートが吸着した場合には価電子帯上部にトラップサイトとしては働かないエネルギー準位が現れた。従って、エタノールの表面酸化により吸着酸素が除去されアセテートが生成・吸着すると、トラップされた電子が放出されるため電気抵抗は回復されると予想される。以上のDFT結果は観測された現象を良く説明できることから、エタノールの部分酸化によるアセテートの生成と吸着は、エタノール検知においてセンサ応答を決める重要な反応経路であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オペランドDRIFTおよびUV-vis測定を駆使することで、酸化物半導体ガスセンサのガス検知層において、これまでに不明だったガス種の酸化経路や酸化物自体の酸化還元挙動を明らかにしつつある。作動メカニズムの解明は半導体ガスセンサの設計において極めて重要な指針を与えるため、大きな進展があると認めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
オペランドDRIFTおよびUV-vis測定を用いて、酸化亜鉛だけではなく、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化銅といった材料のガスセンシングメカニズムの解明を目指す。現在、酸化タングステンのナノ結晶の合成方法を確立したので、この材料のナノサイズ化によって、表面反応の活性とセンサ感度との関連性を詳しく調べており、同様の解析を他の材料についても行う。以上の検討により、半導体ガスセンサにおいて共通の検知原理を明らかにできると考えている。
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