研究課題/領域番号 |
20KK0119
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
津島 悟 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (80312990)
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研究分担者 |
鷹尾 康一朗 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00431990)
金子 政志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (50781697)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ネプツニウム / プルトニウム / NRP沈殿剤 / 使用済み核燃料再処理 / NUMAP法 |
研究開始時の研究の概要 |
使用済み核燃料再処理による核燃料サイクルの実現は, 今後ますます増加する世界の電力需要の充足やエネルギーセキュリティ確保の観点から極めて重要と言える。本研究では, 申請者らが提案するNUMAP法に基づき, 核燃料物質であるウランやトリウムを用いた検討に加え, 再処理における重要な分離・回収対象であるにもかかわらず国内ではmgを超えるバルク量の取扱いが困難なネプツニウムおよびプルトニウムを使用した国際共同研究をドイツで実施することにより, アクチノイド錯体化学の直接的かつ系統的理解に基づいた現行軽水炉および将来の革新的原子力システムの双方に柔軟に対応可能なNUMAP法の沈殿剤の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度までに得られた成果に基づく綿密な研究計画の立案およびオンライン会議での国際共同研究先の研究者との打ち合わせを重ねたうえでドイツに約2週間渡航し、国際連携先の研究機関HZDR (ドイツ・ドレスデン)にてプルトニウム(IV)を実際に用いた実験を先方機関の共同研究者らと一緒に実施した。前年度までの成果から、我々の提案する核燃料物質選択的沈殿法で扱う架橋NRP配位子の添加に伴いプルトニウム(IV)はイオン半径の類似したセリウム(IV)と同様の加水分解を伴う2次元金属有機構造体を形成するのか、それともこれまでに我々が明らかにしてきたトリウム(IV)、ウラン(IV)、ネプツニウム(IV)と同じくヘキサニトラト錯体を形成するのかが本実験で最も明らかにしたい点であった。結果として、プルトニウム(IV)は他のアクチノイド(IV)イオンと同様、ヘキサニトラト錯体[Pu(NO3)6]2-を形成することが単結晶X線構造解析より明らかとなった。各アクチノイド(IV)錯体における結合距離等の各種構造パラメータにはアクチノイド収縮に基づく系統性が見られることを確認した。また、核燃料物質選択的沈殿法の再処理技術としての性能評価指標として重要な溶解度についても上澄み液の紫外可視吸収スペクトルより見積もった結果、他のアクチノイド(IV)と遜色ない値であり、使用済み核燃料再処理条件下で十分な回収効率を見込めることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度、ついに念願であったドイツの国際共同研究先機関にてプルトニウムを用いた実験を実際に行うに至った。ただし、これが本研究における初回の渡独であり、研究目的の達成にはまだ不十分である。最大限の努力をしてはいるものの、特に最初の2年間はコロナ禍のせいで海外渡航が事実上不可能であったことから進捗の遅れは否めない。2023年度が当初の最終年度であるのに対し、この現状を踏まえて次年度1年延長を予定している。予算についてもそれに備えて計画的に支出する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた各種アクチノイド(IV)イオン(トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム)およびセリウム(IV)イオンの核燃料物質選択的沈殿法における錯体化学的挙動や構造化学を総合し、アクチノイド化学もしくはf元素化学における系統性や各元素のユニークさを明らかにし、それらに基づいて包括的な論文の執筆を進める。また、アクチノイド(IV)の沈殿速度や溶解度など実際に再処理技術として重視すべきパラメータを精査し、それらに対する国内での予備検討の実施や国際共同研究先機関での実施予定内容の整理を行い、本国際共同研究の推進に最大限努める。
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