研究課題/領域番号 |
20KK0125
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
纐纈 守 岐阜大学, 工学部, 教授 (50178208)
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研究分担者 |
竹森 洋 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273672)
平島 一輝 岐阜大学, 高等研究院, 特任助教 (50826633)
濱本 明恵 岐阜大学, 工学部, 助教 (60784197)
二ノ宮 真之 岐阜大学, 工学部, 教務補佐員 (90557638)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ヒドロキシカウレン酸 / COPD / ヌマダイコン / 慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究グループはヌマダイコンの熱水抽出物が慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺炎症疾患に有用であることを突き止め、その主要な活性物質が11αヒドロキシカウレン酸(11αOH-KA)がであることを見出した。 本研究は、インドネシアの農学・生命化学系で主要なボゴール農科大学と協業し、インドネシアの温暖多湿な環境条件を利用しヌマダイコンの大量人工栽培法を確立する。次に、ヌマダイコン抽出物及び11αOH-KAのCOPDへの有効性を検証する。加えて、11αOH-KAの誘導体合成展開と標的同定を介して、炎症因子の発現抑制に基づく肺炎重篤化回避の機構を解明する。
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研究実績の概要 |
絶滅危惧植物ヌマダイコン(Adenostemma lavenia)の肺炎緩和素材の候補となるカウレン酸誘導体を大量に含有する。日本ではヌマダイコンは絶滅危惧種に指定され、量的確保が困難である。今回、ヌマダイコンが生育しやすい温暖多湿なインドネシアにある研究機関ボゴール農科大学(Bogor Agricultural University, IPB)と共同研究を行い、ヌマダイコンの大量栽培法の確立とそれに伴う、内容成分の変動の解析を実施した。 最適な栽培条件を確立するため合成肥料と有機肥料の各種混合比で栽培条件の比較検討を行った結果、カウレン酸含量が高まる栽培条件を確定することができた。岐阜大学では、11αOH-カウレン酸および、ヌマダイコン水抽出物から効率的な目的化合物の調製法を確立することができた。また、有機合成による構造修飾により種々の11αOH-カウレン酸類似の誘導体を調製している。これらの薬理作用は複数経路の存在が示唆された。また、各種カウレン酸類縁体の誘導体の合成を行い、置換基の違いによる構造活性相関のための化合物群を調製した結果、肺炎には疎水性を高めた誘導体が有効であった。また、肺炎とは別に、皮膚癌への有効性も示唆された。カウレン酸単独では機能しないものの、免疫チェックポイント阻害剤との併用で効果が固まると予想される。これは、マクロファージの機能抑制の結果、免疫チェックポイント因子(PD-1)の発現抑制による。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスのため互いの行き来ができず直接会って情報交換することができなかったが、TV会議システムを活用し情報交流することにより上述のごとく着実に共同研究を進めている。本年度は、インドネシアにて最終の研究成果の確認をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
抗炎症と抗癌活性の双方を発揮する化合物11αOH-カウレン酸疎水性誘導体を創成できた。この作用は、マクロファージの機能抑制であり、炎症に抑制に伴う免疫系の正常化である。また、インドネシア産のヌマダイコンは、台湾型の11αOH-カウレン酸を含有しており、台湾でのサプリメント使用と発癌率の逆相関を調べると日本でのサプリメント化の道も開けると予想される。 ヌマダイコン・11αOH-カウレン酸のテーマはインドネシアで重用視され、論文も優先的に採択された。今後、東・東南アジア以外でも、ヌマダイコン・11αOH-カウレン酸の重要性を認知させ、創薬シーズ化を目指す。
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