研究課題/領域番号 |
20KK0131
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
岡澤 敦司 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (10294042)
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研究分担者 |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
若林 孝俊 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 特任研究員 (20843858)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 根寄生雑草 / ハマウツボ科 / インベルターゼ / 糖代謝 / ストリゴラクトン / 寄生雑草 / ハマウツボ / インベルターゼインヒビター |
研究開始時の研究の概要 |
ストライガなどの根寄生雑草は,主要穀類や経済上重要な作物に寄生することで,世界の農業に甚大な被害を及ぼしている。持続可能な開発目標(SDGs)である貧困および飢餓の克服には,根寄生雑草による農業被害を最小限に抑制する方策が必須である。本国際共同研究では,スーダンの研究者と共に,新規根寄生雑草防除戦略を実証する。具体的には,宿主作物に根寄生雑草に糖を奪われない形質や,根寄生雑草の発芽を誘導しない形質を付与する。根寄生雑草の克服を実現可能なものとし,開発途上国の発展に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
ハマウツボ科(Orobanchaceae)の根寄生雑草は、主要穀物やトマト、マメ類などの経済的に重要な作物に多大な被害をもたらしている。特に、アフリカにおけるハマウツボ科ストライガ属(Striga spp.)によるイネ科穀物に対する被害は深刻であり、貧困と飢餓の直接的な要因となっている。持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、その克服が必須である。本国際共同研究では、これまでの研究成果とスーダン側共同研究者との強固な連携体制をもとに、作物に根寄生雑草に糖を奪われない形質と、根寄生雑草の発芽を誘導しない形質を付与し、スーダンにて実証試験を行うことを目的とする。 以前に取得していた根寄生雑草ヤセウツボのトランスクリプトームデータより根寄生雑草が宿主より糖を収奪する際に重要な役割を果たすと想定されるインベルターゼの阻害蛋白質であるインベルターゼインヒビターをコードすると予想される遺伝子配列を2種獲得した。この配列をクローニングし、大腸菌およびベンザミアナタバコで発現させた。現在、発現させたタンパク質について、ヤセウツボのインベルターゼ阻害活性を評価している。 糖代謝について、ヤセウツボの発芽に重要なプランテオースの加水分解を触媒する α-ガラクトシダーゼ OmAGAL2 の同定及びクローニングに成功した。大腸菌で発現させた OmAGAL2 に対する阻害剤のスクリーニングによって、芳香族カルボニルチオウレア誘導体を取得した。この類縁体の合成法を確立し、様々な類縁体を合成した。これらの化合物を発芽刺激物質と共にヤセウツボに投与したところ、一部の化合物が幼根伸長を著しく阻害することが明らかとなった。このことによって、糖の代謝阻害はヤセウツボの生育を抑制することを実証した。 さらにストリゴラクトンの生合成について、その立体を制御する酵素についての重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インベルターゼ阻害タンパク質のクローニングに予想よし時間を要し、活性評価が遅れている。 また、スーダンの治安の悪化に加え、COVID-19 の拡大により、当初想定していた現地での実証試験が行えていない。直近において、軍事衝突が起きるなど状況は芳しくない。そんな中でも、研究交流は進めており 2023 年 3 月にスーダンを訪問し、4 月以降の研究交流について MoA を再締結した。その際、研究を拡充させるため輸入禁止品である Orobanche crenata の種子を植物防疫所の許可のもと輸入した。
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今後の研究の推進方策 |
インベルターゼ阻害タンパク質の活性を評価出来次第、この遺伝子を師管の伴細胞特異的に発現する SUC2 プローモーターの下流で発現させるコンストラクトをトマトに導入する。このトマトに根寄生雑草を寄生させ、遺伝子導入による根寄生雑草の糖代謝阻害が寄生に与える影響を評価する。この際、実際にトマト及び根寄生雑草の糖分析を行い、戦略通りの代謝阻害が起こっているかどうかについて確認を行う。効果が確認でき、スーダンへの渡航が可能になった時点で現地で同様の形質転換を行い、得られたトマトについてポットレベルでの寄生植物への抵抗性を評価する。 ストリゴラクトンの生合成経路を宿主に影響が出ず、根寄生雑草に対する発芽刺激活性のみを低下させたゲノム編集トマトについても、現地でのポット試験レベルでの評価を開始する。
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