研究課題/領域番号 |
20KK0141
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小池 一彦 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30265722)
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研究分担者 |
小原 静夏 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 特任助教 (10878276)
作野 裕司 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20332801)
豊川 雅哉 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 水産領域, 主任研究員 (60371837)
劉 文 京都大学, 地球環境学堂, 特定助教 (60839900)
圦本 達也 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 水産領域, 主任研究員 (90372002)
松岡 數充 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (00047416)
日野出 賢二郎 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 研究員 (30943617)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | マングローブ / ミャンマー / 底生微細藻 / 原生生物 / カキ / 牡蠣 / 基礎生産 / 底生珪藻 / セルラーゼ / カキ養殖 / GCOM-C / 海洋基礎生産 / 沿岸環境 |
研究開始時の研究の概要 |
マングローブ林とその干潟は,生物生産性と生物多様性の極めて高い,後世に残すべき貴重な自然環境である。この高い生物生産性はマングローブ樹木からの落葉により支えられていると考えられているが,その貢献は1/3に過ぎず,残り2/3が不明となっている。本研究では,これまでのミャンマー・インドネシアでの現場調査実績から,マングローブ干潟の細菌と原生動物,底生性微細藻類が食物連鎖を駆動しているとともに,多くの動物が落葉を直接捕食するとの考え方に基づき,未だ未開発の広大なマングローブ林を有しているミャンマー南部沿岸で現地調査を行う。このことによって,マングローブ生態系の真の姿を社会に発信し,保全につなげる。
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研究実績の概要 |
前年度にミャンマーのミエック市パナタウンにあるマングローブクリークから採集した底泥試料および養殖カキの胃内容物からDNAを抽出し,18S rRNA遺伝子のV4領域を対象としたアンプリコンシーケンスをおこなった。解析の結果,底泥から得られた総リード数は367,271であった(OTUの類似度97%以上に限定)。底泥中の原生生物組成をスーパーグループ毎にみると,珪藻類を含むストラメノパイルと,酵母などを含むオピスタコンタがいずれの月も60%以上を占めた。雨季前半の5, 7月はトレボキシア藻や酵母などが高い割合を示し,雨季の終わりの9月には珪藻類や従属栄養性渦鞭毛虫の割合が増加した。これら雨季に得られた試料毎のリード数は,つづく乾季(11, 1月)と比べ3~4倍多く,生物量も多かったことが示唆された。乾季前半(11月)までは珪藻類の割合が高かったが,乾季後半(1月)には珪藻類などの藻類の割合は低下した。気象衛星S-NPPの可視近赤外放射計群(VIIRS)センサを用い推定した調査期間中のミエック市沿岸の月平均クロロフィルaは雨季中盤の7月で最も高く,これはマングローブクリーク底泥上のみならず,その沿岸域でも雨季にバイオマスが高かったと推測される。 解析に用いた養殖イワガキ(Crossostrea nippona)の胃内容物からは,季節ごとに86~4,669リードを得られ,底泥からも検出された酵母やトレボキシア藻,浮遊性珪藻類などが検出され,これらが餌として養殖カキに捕食されていることが示唆された。同時に,ミエック沿岸に生息するカキ類の種組成を調べた結果,養殖対象種C. belcheriが占める割当は極めて少なく、ネコノアシガキ属が優占することを明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症の世界的パンデミックおよびミャンマーの国内情勢不安から,前年度までは渡航が難しく,現地調査は現地協力者のみに頼り,集中的な調査ができなかったが,日本側チーム全員が参加した調査が実現し,また現地協力者が採集・保管してきた試料を受け取り,国内で解析できたことにより成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
得られた知見,特にマングローブ域で多様な原生生物がカキを初めとする有用水産物の餌資源となっているという発見を論文として投稿するべく準備を進め,同時に,ようやく渡日がかなったミャンマー人現地協力者がラボに滞在し,現地から分離した培養株を使った実験を実施する。
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