研究課題/領域番号 |
20KK0144
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
瀧澤 文雄 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60822913)
|
研究分担者 |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00334326)
柴崎 康宏 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30750674)
松浦 雄太 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 任期付研究員 (40823894)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | T細胞 / B細胞 / 獲得免疫 / 魚類 / ニジマス / IgM / IgT / 免疫記憶 / レッドマウス病 / 魚病 |
研究開始時の研究の概要 |
レッドマウス病は、世界各地のサケ科魚類の養殖場で発生している。日本においても2015年に初めて本病が確認され、再発生が危惧される疾病の一つである。本病のワクチンは、海外で販売されているが、なぜ効いているのか不明な点も多い。そこで本研究は、魚類の免疫研究が進んでいるニジマスをモデルに、レッドマウス病とそのワクチンに対する免疫応答を解析し、魚類獲得免疫がどのように活性化され、レッドマウス病ワクチンの効果の本質を探る。本研究成果は、国内で問題となっている他の魚病感染症に対する防除法を開発するためにも重要である。
|
研究実績の概要 |
ワクチン投与後の感染防御では、獲得免疫で働くB細胞およびT細胞の2種類のリンパ球が抗原特異的免疫応答を担う。また、これらリンパ球の一部が活性化し、免疫記憶細胞として体内に生存することにより免疫記憶が成立し、特定の病原体の再感染を防いでいる。また、T細胞にはサブセットであるヘルパーT細胞とキラーT細胞が存在し、これまでにそれぞれのマーカーであるCD4とCD8を用いてT細胞サブセットの識別・分離が可能にしてきた。当該年度は、魚類の粘膜面に感染する病原体やワクチン投与を模したモデル抗原を利用してIgM陽性B細胞とCD4陽性ヘルパーT細胞の免疫応答を調べたところ、脾臓において、IgM陽性B細胞と抗体産生を補助すると考えられるCD4陽性T細胞の活発な増殖が認められた。両細胞は互いに密接しながらも、IgM陽性B細胞が豊富なゾーン、CD4陽性T細胞が豊富なゾーンを形成しつつ、クラスターを形成していた。また抗原に特異的に結合するIgM陽性B細胞の集積が認められた。また、ゼブラフィッシュを用いて液性免疫を評価するためゼブラフィッシュIgMに対する抗体を作製した。作製した抗体はIgM重鎖の組換えタンパク質を特異的に認識したことからゼブラフィッシュIgMを検出可能であることが示された。これら抗体を用いて血漿中のIgMをウエスタンブロット法で解析したところ、野生型では多量体のIgMが検出されたが、RAG1欠損個体ではIgMが検出されなかった。抗原投与個体の血漿では抗原に対する有意な抗体価の上昇が確認された。以上より、本研究で作製したゼブラフィッシュIgMに対する抗体を用いて、ゼブラフィッシュのB細胞の解析や抗体価の評価が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル抗原を用いて抗原特異的な獲得免疫応答が脾臓で誘導されていることが明らかになった。実際にレッドマウス病などの感染症やワクチン投与においても同様な免疫応答が起きているか調べることにより魚類獲得免疫の理解が進むことが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響も低減され、渡米や国際学会への参加が可能になってきた。レッドマウス病などの感染症やワクチン投与を進めていき、免疫応答の解析を実施していく。
|