研究課題/領域番号 |
20KK0161
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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研究分担者 |
福村 圭介 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10880049)
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特任准教授 (50311296)
森下 雅大 日本医科大学, 医学部, 助教 (10909063)
成松 勇樹 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特任助教 (50994696)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 野性鳥類 / 新規脳因子 / 脂肪蓄積 / 渡り行動 / ウズラ / 寒冷刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、野性鳥類の渡り行動前の過剰な脂肪蓄積に研究代表者が発見した新規脳因子NPGLが関与しているという作業仮説を立て、これを検討することを目的としている。そのために、まず、渡り鳥にNPGLが存在することを示す。次に、NPGL遺伝子発現が季節変動を示すのか、さらに、季節変動を示す場合には日長や温度変化などの発現制御因子を特定する。最後に、実際に渡り鳥においてNPGLが脂肪蓄積及び渡り行動の誘導作用を示すかどうかを解析する。
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研究実績の概要 |
研究代表者はこれまで、鳥類のニワトリ、哺乳類のラットやマウスの視床下部から、新規の視床下部分泌性因子neurosecretory protein GL(NPGL)を発見し、機能解析を進めてきた。その結果、NPGLは白色脂肪組織での脂肪蓄積を促す作用を有することを見出している。この脂肪蓄積の生理学的意義を解明するために、渡り鳥に着目した。渡り鳥は、渡り行動前に大量の脂肪を蓄積するため、NPGLが渡り行動のエネルギー源となる脂肪蓄積に関与していると予想している。本研究では渡り鳥を用い、NPGLの脂肪蓄積作用の意義を解明することを目的としている。さらに、NPGLに加え、NPGMというパラログ因子も見出しているため、両者を研究対象とする。 本研究では、キジ目のウズラが本来渡り鳥であるという性質に着目した。本年度はウズラの基礎データを集める研究を行った。まず、NPGLとNPGMのシークエンス解析を行った結果、NPGLの成熟タンパク質は80アミノ酸残基、ニワトリとは1アミノ酸だけ異なり、相同性は99%であった。NPGMの成熟タンパク質は83アミノ酸残基であり、ニワトリとの相同性は100%であった。また、脳内の局在を解析した結果、NPGLは漏斗核と正中隆起に局在しており、NPGMは乳頭体核に局在していた。遺伝子発現量を雌雄で比較した結果、NPGL mRNA発現はメスで高く、NPGM mRNAの発現には性差がないことが示された。加えて、絶食負荷による遺伝子発現を解析した結果、NPGL mRNA発現はオスで増加したが、メスでは増加しなかった。一方、NPGM mRNAの発現はオス・メスともに絶食負荷で増加することが明らかになった。以上の結果から、NPGL及びNPGMは視床下部内での局在が異なり、NPGLの遺伝子発現に性差が見られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で3年間、国際共同研究の実施を行うことができなかっため、全体的に研究はやや遅れている。しかしながら、2023年度になり、漸く国際共同研究を行うために渡米することができた。今後も3年間の遅れを取り戻すために、精力的に研究を展開したい。
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今後の研究の推進方策 |
野性鳥類の性質を有するウズラを用い、渡り行動・渡り時の脂肪蓄積に関わるNPGL・NPGMの生理的意義を解明する研究を行う。
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