研究課題/領域番号 |
20KK0165
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
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研究分担者 |
松林 順 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (30756052)
吉川 知里 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (40435839)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
原口 岳 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 研究員 (90721407)
長田 穣 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90750084)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | Isoscape / 安定同位体比 / 多元素分析 / モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
地球環境変化が進行するなか、生物の生息範囲や生息地間の移動経路を把握する研究の重要性が増している。生物体に含まれる元素の同位体比には「場所」に関する情報が潜在的に含まれ、同位体比の時間的・空間的分布地図(同位体地図:Isoscape)を利用することで生物の生息範囲や移動を調べることができる。本研究では、同位体地図アプローチの先駆者である米国ユタ大学との共同研究により、多元素同位体比のデータを元にした、多元素同位体地図(Multi-Isoscapes)解析手法を開発する。
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研究実績の概要 |
本年度はようやくCOVID-19の状況が落ち着いたため、ユタ大学に渡航し、具体的な研究交流を行うことで研究が進展した。各テーマの課題と進捗状況について述べる。 テーマ1「多元素同位体地図モデリング手法の開発」に関しては、昨年度に開発した多元素同位体モデルをSrとNdの同位体データに適用した。その結果、単元素同位体モデルに比べて多元素同位体モデルは高い予測力をもつことがわかった。特に、低濃度により欠損地点の多いNd同位体は多元素同位体モデルによる予測力の向上が大きかった。また、適合が局所最適解に陥らないようモデルの最適化手順の検討も行った。 テーマ2「陸域生態系の同位体地図解析法の開発」に関しては、大阪府北部で採取したササ・イネを主要エサ資源の代表とし、CN-isoscapeを作成し、毛の同位体分析結果と組み合わせたmixing モデルを構築した。isoscapeの改善を測るために追加収集した山間部のササ試料を分析した結果、毛の同位体分析結果がmixingポリゴンの範囲に収まり、農作物と自然植生の摂食割合を計算出来た。Bowen教授の研究室を訪問し、同位体データベースに付いて学んだ結果を踏まえて、分析結果をデータベース上で共有可能な形に準備した。 テーマ3「海洋生態系の同位体地図解析法の開発」に関しては、モデル出力をベースとした地図について、全球窒素同位体モデルの出力について解析を行い、論文化した。魚類の飼育実験を行い、餌の窒素と炭素の同位体比情報が、魚類の水晶体へどのように記録されていくのかを調べた。また、水晶体を用いた時系列同位体比分析について、哺乳類・鳥類・両生類を対象にその手法開発を実施した。両生類および哺乳類では、魚類と同様に予め水晶体を40度で乾燥させる方法で、生活史全体の同位体比履歴を復元できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ(COVID-19)もほぼ問題なくなったところで、ユタ大学へ渡航し、Bowen教授の主催しているSPATIAL short courseに研究協力者が参加するとともに、ユタ大学の研究グループと情報交換を行った。まず、分析方法に関する意見交換を行い、分析手法について詳細な議論を行うことができた。これらの情報は、今後の分析手法開発に有益であった。また、同位体地図を用いた解析手法について意見交換を行い、今後の共同研究について意見交換した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度として、今までの共同研究の成果を論文化していく予定である。
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