研究課題/領域番号 |
20KK0167
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
二階堂 雅人 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70432010)
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研究分担者 |
長澤 竜樹 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (60782828)
高橋 鉄美 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70432359)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 東アフリカ産シクリッド / 適応放散 / 平行進化 / 祖先多型 / シクリッド / ゲノム比較 / フェロモン / 適応進化 / 全ゲノム比較 / V1R / 祖先集団多型 / フェロモン受容体 / 全ゲノム比較解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は適応放散や平行進化の典型例として知られているシクリッドに着目し、その適応放散・平行進化が祖先多型に由来するものか否かを検証する。そのため、タンザニアにおける野外調査、SGV由来アリルをもつV1R2を介したシクリッドの種分化の検証、SGV由来アリルをもつMAGP4遺伝子の発現低下と唇の肥大化の検証の3つのテーマを立てて、研究実施を進める。
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研究実績の概要 |
本研究計画ではビクトリア湖シクリッドの「全ゲノム比較解析」に基づいた適応・種分化遺伝子の網羅探索を実施し、その候補遺伝子が包含する変異が、東アフリカ三大湖シクリッドの系統樹において、起源の古い祖先多型に由来することを示すことにあった。加えて、「唇の肥大化」や「V1Rフェロモン受容体」を実際の適応例に掲げ、これらが祖先多型によって説明しうるかを検証することを目的とした。最終年度には共同研究相手のタンザニア水産研究所を訪問し、ビクトリア湖の野外調査により必要なシクリッドサンプルの採集をおこなった。研究内容としては、かねてより集団サイズが小さく遺伝的多様性が極度に低いことが予備データとして得られていたビクトリア湖の卵稚魚食性シクリッド「マタンビハンター」のゲノムワイド集団遺伝解析を実施した。その結果、マタンビハンターにおいて、過去に急激な集団サイズが縮小したことが推定値として示され(ボトルネック現象の検出)、これはナイルパーチがビクトリア湖に移入され、環境破壊が報告された年代(1970年台)と一致することが分かった。系統解析によるとマタンビハンターは同じ食性に属する他のシクリッドと単系統群を形成することが分かったが、ボトルネックが確認されたのはこのグループではマタンビハンターだけであった。これは同じ食性をもつグループにもかかわらず、ナイルパーチの影響の受けやすさに差があることが興味深く、これは保全対象種を選別する際にはゲノムレベルでの集団サイズ推定が有用な判断材料になることを示している。この成果は米国の分子進化専門誌であるMol. Biol. Evol.に受理されている。また、祖先多型に由来するフェロモン受容体V1R2については、そのリガンド探索の基盤となる実験系を構築するところまで到達し、これについては英国の比較生理学専門誌のJ. Exp. Biol.に受理・発表された。
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