研究課題/領域番号 |
20KK0179
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (90432434)
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研究分担者 |
松本 悠希 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (30749114)
金城 武士 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90724211)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 結核 / 非結核性抗酸菌症 / MLST / 分子疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
インドネシアは世界でも有数の結核高蔓延国であり、結核菌の同定はその予防および治療に極めて重要である。一方で同国において、過去に結核疑いと診断された患者のうち15%程度が非結核性抗酸菌に起因することが報告された。インドネシアにおける結核疑いとされている患者の少なくない数が非結核性抗酸菌症の誤診断によると考えられる。そこで我々の開発したMLSTをベースとした同定手法をインドネシア大学へ技術提供を行う共に解析システムの構築を行い、インドネシア大学の保存菌株に対して迅速に同定し、研究期間中200検体を目標として疫学調査を実施する。これにより従来結核疑いとされてきた患者への適切な治療の提供が可能になる。
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研究成果の概要 |
2020年度から2022年度はMinIONシーケンサーの出力からリアルタイム同定を行うmlstverse-webの開発を行った。2023年度にKarunawati副医学部長の協力の下、MinIONと開発したシステムをインドネシア大学へ導入した。現地にて分類不能のNTM培養検体9検体から次世代シーケンス解析を実施したところ、M. abscessus subsp. abscessus 5例、M. colombiense 1例、M. farcinogenes 1例が同定された。2例についてはいずれの菌種のスコアも低く新種の可能性があり、インドネシアにおける高精度な菌種同定の重要性が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2019年にSaptawati らによって行われた同国の結核疑い患者を対象とした後ろ向き研究によると、結核疑いと診断されていた患者から取得された単離株の15%が、NTMであることが明らかとなった。NTMは亜種レベルで薬剤感受性が異なるため、本来であれば詳細な菌種同定を行ってから治療方針を決定する必要がある。そのため結核陽性と診断されたうちの15%のNTM症例については、多剤耐性結核菌として扱われるなど、適切な治療を行えていなかった可能性がある。この誤診がインドネシアにおける結核根絶を妨げる一因になっていると考えられることから、迅速かつ正確な同定法の導入が治癒率改善につながると期待される。
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