研究課題/領域番号 |
20KK0202
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
眞庭 謙昌 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50362778)
|
研究分担者 |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
法華 大助 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (80715459)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
|
キーワード | 原発性肺癌 / 癌浸潤 / 癌転移 / 鶏卵漿尿膜培養 / 肺癌オルガノイド / 肺癌 / 癌幹細胞 / 肺がん / オルガノイド / 腫瘍血管新生 / 抗癌剤感受性試験 / 肺癌幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌オルガノイドの臨床応用に向けた課題として、①抗癌剤感受性試験モデルとしての生体に即した効果予測能力の確立 、②ごく少量の生検材料による確実なオルガノイド樹立という点が挙げられる。これらの課題に対して神戸大学(呼吸器外科・iPS細胞応用医学分野)とトロント大学(呼吸器外科・病理部)で協力し取り組むことにより、肺癌オルガノイドをハイスループットの抗癌剤感受性試験として確立し、臨床応用を促進する。
|
研究実績の概要 |
[目的] 「第1」に、鶏卵漿尿膜培養法を用い、我々が開発した人工肺癌幹細胞:induced lung cancer stem cell like cell(LCSC)から樹立した人工肺癌オルガノイドを培養に供し、浸潤や血管新生を始めとする癌微小環境の表現型;phenotypeを分析し、鶏卵漿尿膜培養における人工肺癌オルガノイド研究の優位性を明らかにする。 「第2」に、患者検体から採取された腫瘍組織、特に重喫煙者の肺癌の腫瘍組織で鶏卵漿尿膜培養を行う。データを蓄積・分析し肺癌制御の個別化への基礎の確立を目指すとともに喫煙歴の違いによるがんの個性を明確にする。そこで、その浸潤、血管新生に関連するケミカルメディエーターを抽出する。 [方法] K-ras変異陽性の原発性肺腺癌細胞株であるA549細胞に体細胞初期化因子(OCT3/4、SOX2、KLF4)の導入を行い誘導型肺癌幹細胞(induced Lung cancer stem like cell; iLCSC)を作成し、ヒト臍帯静脈内皮細胞、ヒト間葉系幹細胞を混合培養し、人工肺癌オルガノイドを作成し、漿尿膜上で約1週間培養を行い、RNA抽出、組織固定標本を作成する。また超感度カメラを用いて血管新生をライブイメージングにより補足する。 有精鶏卵の漿尿膜上に人工肺癌オルガノイドを移植する。培養中に超高倍率の血流スコープ(TOKU Capillaro)で移植片周囲の微細な血管の形状や血流を確認する。培養後、移植部位の固定標本を作製し組織学的に移植片の増殖、浸潤、転移を評価する。培養の前後でRNA抽出を行いトランスクリプトーム解析を行う。 [結果] 鶏卵漿尿膜培養を用い、肺腺癌の血管新生に関わる因子としてTIPARPを同定した。そのメカニズムはVEGFを介さず、細胞外マトリックスをリモデリングを介し血管新生を誘導した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、一時、困難であった共同研究先との連携も十分に取れるようになり、研究を推進している。また、本分野の大学院生1人が「2023年度若手研究者海外挑戦プログラム」に採択され、先方での研究に従事することにより、共同研究は格段に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
肺癌遠隔転移モデルの作成と転移機序の解明 PDOOXモデルでの転移巣を確認のうえ、マウス体内での転移を確認するために、新規人工生物発光システムAkaBLIを使用する(Iwano S, et al. Science 2018)。AkaBLIの使用には、まずVenus-Akalucを細胞に遺伝子導入する。Venusは蛍光色素であり、遺伝子導入された全ての細胞は蛍光により標識される。Akalucは、AkaBLI使用のための人工酵素となっており、発光基質であるAkalumineを反応させることにより、組織透過性の高い、波長677nmをピークとする近赤外光を発する。これにより動物深部の細胞から発せられるシグナルを定量的に評価できるようになる。このシステムで転移巣を確認した後に、マウスから腫瘍組織を摘出し、再度癌オルガノイドを樹立する。コントロールである肺癌オルガノイドとの間で比較することで、オルガノイドという同一条件下において転移巣にて有意となる因子を同定する。また転移臓器ごとに、因子に違いがあるかも比較検討する。有意な因子を同定できた際には、それらの因子をshort heparin RNAやCRISPR-Cas9等の薬剤にて抑制することで転移が抑制されるかを確認する。また仮にPDOOXモデルで転移が確認できない場合には、肺癌オルガノイドを免疫不全マウスに心臓内投与することで、肺癌オルガノイドの血行性転移を引き起こし、肺癌オルガノイドの遠隔転移モデルの作成を試みる。
|